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ゲーセン「大量閉店」の背後にある本質的な変容 「千円でだらだら」若者の消費欲を満たせてない

東洋経済オンライン / 2024年5月1日 12時0分

私も友人がこぞってプレイしていたから、なんとなくわかるが、100円でけっこうじっくり遊べるのが「音ゲー」だった。「せんだら」の文脈からいえば、1000円も持っていけば、かなり満足いくまで遊べるのが音ゲーだったのではないか(ちなみに私の友人は金持ちだったらしく、1000円以上使っていた。うらやましかった)。

いずれにしても、その客層は異なれど、若者が集まる場所としてゲームセンターは機能していたと思う。そして、それは、あまりたくさんお金を使うことなくいられる場所だったから、ということもあるだろう。

とはいえ、「せんだら」的な使われ方は、やはり利益率として見れば店側にとっては、あまりうれしくないことも確かだ。

先ほどの帝国データバンクの報告からもわかる通り、ゲームセンターの利益率は100円につき6円程度という試算も出ており、ただでさえ低い利益率で「だらだら」いられるのも困るだろう。実際、近年のゲームセンターはそうしたゲームの中でも売り上げを高く出すことのできるクレーンゲームに移行しているところも多い。

例えば、運営元の移動に伴い、セガのゲームセンターが衣替えした形のゲームセンター「GiGO」は、映画配給会社のギャガを子会社化し、積極的にIPを活用したクレーンゲームの展開を行っている。

そうすると、クレーンゲームの景品を目当てに行く人々が、たくさんお金をかけて、景品を取ろうとするから、当然ながら売り上げとしては優れていることになる。これだけが理由ではないだろうが、GiGOは積極的にその出店を伸ばしている。

ただ、そのようなゲーム筐体の変化が、結果的には「だらだら」する場所としての、ゲームセンターの価値を下げているかもしれない……というのが筆者の考えだ。

実際、現在のゲームセンターは、どちらかというと、「クレーンゲームでお金をたくさん使う場所」として認識されているかもしれない。もちろん、現在でもゲームセンターにたむろする人々はいるだろうが、過去から相対的に見れば、そこでぶらぶらしたり、たむろすることがしづらい場所になっているのではないか。

クレーンゲームでは、100円で数秒から数十秒しか遊べない。1プレイ200円となると、5回で1000円となってしまう。これでは「コスパ」「タイパ」ともに最悪だ。そこがいかに楽しい場所だったとしても、「また行こうか」とはなりにくいだろう。

「せんだら」空間としての魅力をもう一度考え直してみてもいいのではないか

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