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「推し活」全盛時代に、つんく♂が思い描く未来 グループアイドルの形は進化していくはずだ

東洋経済オンライン / 2024年5月5日 8時0分

ようやくコロナが明けてファンたちが動き出した頃には、グループが解散したり、活動を休止していたり。肝心の「推す」対象がなくなっていた、という経験をした人もいる。

ちなみに「推し」はこの数年で急激に普及した言葉だけれど、それが指すもの自体は、音楽の世界にはずっと存在していました。

40年前から「推し活」と同じものはあった

――どういうことでしょうか。

記憶する限り、僕が中学生の頃もアイドルの握手会はありました。新曲リリース時のキャンペーンとして、スーパーのイベント広場なんかで握手会やサイン会が開催されていたのを記憶しています。40年前から同じものはあったわけです。

違いとして大きいのは、当時のレコード業界は握手会をするために音楽を作っていたわけではなかった、という点ではないでしょうか。

当時は、握手会やサイン会をラジオや有線で曲がかかった時に注意を向けてもらうための宣伝として考えていたと思います。

その後アイドル文化が発展して、CDが聴くものから収集するものに変わっていき、ジャケットが違えば全種類ほしいといった欲求も出てきた。そうこうする間に、ジャケット写真の違うCDだけでなく特典の違うCD、握手券の入ってるCDなどいろいろなパターンが生まれ、純粋な音楽作りとは違う視線がアイドルの世界に向けられるようになった。

いつの間にかアイドルやアーティストのファンは、「家でCDを聴いて、コンサートに行く」というだけでなく、イベントやブログ、SNSでの発信まで含めた活動全体を楽しみにし、それらを拡散するという、2次的3次的な楽しみ方をするようになりました。

長らく「ファン」と呼ばれ、ときに「オタク」「ヲタク」と称されたりもしましたが、やっていたことは今でいう「推し活」に近いんです。

「推し活」の時代だからこそやりたいこと

――今の時代の特徴は、SNSでの発信を介して、自分と同じ「好き」の感情を持つ他者と容易に出会えることでしょうか。「推し活をしている、誰かのファンである、何かのオタクである」という前提で行われるコミュニケーションの広がりはSNSの存在が大きいように思います。ただ、昔の「オタク」と今の「推し活」とでは、活動内容が似たものである一方、周囲から向けられる視線は変わってきています。

「オタク」なのか「マニア」なのか。どう呼ばれるのが先だったかはわからないけれど、例えば僕なんかは「オーディオマニア」とか「オーディオオタク」と言われると、それは自分にとっては褒め言葉だったわけです。他人からしたら、「あんたキモいよ」という意味の言葉だったとしても、本人はうれしかったものです。

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