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「非大卒家庭から東大総長賞」1浪した彼女の奮闘 設立団体が受賞、地方女子の進学を支援する

東洋経済オンライン / 2024年5月5日 7時20分

高校受験の対策は、中学校に上がってから通い始めた個人塾ですぐに開始しました。その周到な勉強姿勢もあり、地元の名門進学校である、静岡県立静岡高等学校に危なげなく合格しました。

「このころから、母親も自分も、頭の片隅に東大の理科Ⅲ類がありました。理Ⅲを目指すためには都内の高校に通ったほうがいいと思い、筑波大学附属高校や東京学芸大学附属高校も見に行ったのですが、親と相談して、大学に行くまでは地元に残るという結論に至りました。そうした経緯もあり、中3の夏に静岡高校と、その滑り止めの私立高校を志望校に決めました」

東大理ⅢでA判定も興味が変わる

静岡県有数の進学校、静岡高等学校に進学してからの江森さんは、1学年320人の中で上位20位以内の成績でした。高校に入って最初に受けた進研模試では偏差値80を超えるほどの好成績が出たようで、東大理ⅢでもA判定が出ました。

「受験科目でない科目では、赤点をとることもあったのですが、英語・国語・数学は得意でした。学校がある日も、毎日2時間は自主的に勉強を続けていました」

しかし、高校2年生になってから、彼女の関心が移り始めます。

「高1の9月にあった文・理選択では、医者になりたいからという理由で、何も考えずに理系を選びました。でも、高2の中盤から、『私は本当に医者になりたいんだろうか?』と思い始めたんです。

活動的で、いろんな人と会って話すのが好きなタイプだったので、1つの場所にいるよりも、世界を飛び回ったり、毎日足を使って稼ぐ仕事のほうが向いているのかもしれないと思いました。そういう仕事ができるのは、経済学部や商学部を卒業した人たちなのかなと思い、東大の経済学部を志すようになりました」

東京大学では「進学振り分け(進振り)」と呼ばれる、1年生・2年途中までの成績をもとに、3年生から学ぶ学部を決めることができる制度があります。

経済学部に進む人の多くは、文科Ⅱ類からです。江森さんは理系コースを選んだために、理科Ⅱ類に入って、入学後も好成績をキープし、経済学部に進学しようと考えていました。

「東大の文系は社会科が2科目必要なのですが、理系クラスでは社会の授業を受けられませんでした。私自身、数学I・AとⅡ・Bが得意でしたし、物理・化学も好きだったので、高2の時点ではその戦略のほうが受験で戦えそうだと思っていたんです」

高校2年生までの模試の東大の判定も、B~A判定で安定しており、合格は射程圏内だと思えたそうです。しかし、高校3年生になった途端に模試の判定は急降下し、一気にE判定ばかりになってしまいました。

合格最低点に20点足りなかった

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