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「非大卒家庭から東大総長賞」1浪した彼女の奮闘 設立団体が受賞、地方女子の進学を支援する

東洋経済オンライン / 2024年5月5日 7時20分

「早稲田の結果を見て、東大も落ちているかもしれないと思い、死ぬ気で一橋大学の後期試験対策をしていました。東大の合格発表の日はもう、結果を見るのが怖すぎて、(合格の番号が)開示されてから1時間は見れませんでした。

『見れない、見れない』と言ってずっと泣いていたのですが、母親に『バンジージャンプは飛ぶ前がいちばん怖いんだよ、飛んだあとは意外となるようになるよ』と言われて、ようやく勇気を出して見ました。そしたら(番号が)あって……。母も父も、泣いて喜んでくれました。あの瞬間を上回る感動はいまだかつてなかったですし、今でもありません」

こうして1浪で無事東京大学文科Ⅲ類に合格した江森さん。浪人してよかったことを聞くと、「すごく大きな成功体験を得られた」、頑張れた理由を聞くと、「出会った人たちのおかげ」だと語ってくれました。

「志望大学に行けたことで、今も自己肯定感が高い状態を保てていて、いい経験だったなと思います。東大の文系コース志望の子たちはとても優秀で、『これくらいできないと受からないんだ』という身近な指標があったのがとても大きかったと思います。彼らの生活リズムも、模試の後に何をしているかも、普段の勉強内容も、すべて共有できる場所があったことが、すごく幸運でした」

「自分の意思で思い描いた大学に行けたおかげで、自己肯定感が高い状態を保てています」と言うように、彼女は自身の選択に満足しています。

一方で、東大に進学したあとはその環境で大きなカルチャーショックも受けたようでした。

「進学意識が私の地元と全然違うんです。私が卒業した静岡高校と比較して偏差値がそんなに変わらない高校でも、東京だったら『とりあえず東大』という女子学生がいっぱいいるのです。駿台浜松校のクラスでは、身近な人が同じ志望校を目指していることがとても大事だと思ったのですが、東大に入ってそれをより強く感じました」

地方女子の進学の選択肢を広げたい

現在江森さんは、東京大学文学部の社会心理学専修の4年生として学校に通う傍ら、自身の問題意識から地方女子の進学の選択肢を広げるために創設した#YourChoiceProjectの代表として日々精力的に活動をしています。

地方の進路選択上のジェンダーギャップを解消する取り組みを行う特定非営利活動法人としての活動は、令和5年度には「地方女子の大学進学を取り巻く社会課題の解決に向けた取り組み」が評価されて、東京大学総長賞も受賞しました。

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