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歴史が教える企業が政治に関与すべきでない理由 企業の力を社会のために役立てるための指針

東洋経済オンライン / 2024年5月7日 9時0分

企業の目的は、今も昔も、共通善の促進にあるということを忘れなければ、企業は人々を協力させ、偉大な事業をなしえることができます(写真:Ryuji/PIXTA)

企業は世界の動向につねに多大な影響を及ぼしてきた。そして企業は、誕生した当初から、共通善(社会全体にとってよいこと)の促進を目的とする組織だった。しかし今、企業はひたすら利益だけを追い求める集団であり、人間味などとは無縁のものであると考えている人は多い。では、企業はどこで、どのように変節してしまったのか? 今回、古代ローマの「ソキエタス」から、現代の「フェイスブック」まで、8つの企業の功罪を通して世界の成り立ち知る、『世界を変えた8つの企業』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。

過去2000年の企業の目的

社会で広く信じられてきた考え方を覆すようなことを書くのがひとつの流行になっている。世の中の全員がじつは間違っていたと論じられることもあれば、まったく新しい洞察が提示されることも、世界が見た目よりも複雑であることが指摘されることもある。

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しかし、社会で広く信じられてきた考え方は、だてに広く信じられてきたわけではない。そこには知恵が含まれている。いつも正しいとか、例外も条件もないということではない。

アリストテレスが政治哲学について述べているように、「それはほとんどの部分において正しい。おおよそ、大要において正しい」ということだ。古くから知られてきた真実を捨て去るのでなく、それを取り戻すことが最善の方策である場合もある。

本書がめざしたのは、過去2000年のあいだに人類が学んだことを明らかにすることだった。企業とは何か、企業は何のためにあるのかについて、これまでにどのような考え方があったのかを振り返り、それをなんらかの形で現代に生かそうと試みた。特に、ひとつの根本的な原則に注目した。すなわち、企業の目的は、今も昔も、共通善の促進にあるということだ。

企業は2000年以上前から存在し、環境や背景のまったく異なるさまざまな社会の中で設立されてきたが、つねに国家やその利益と密接に結びついていた。

古代ローマでは、「国家の屋台骨」と見なされ、急速な拡大を続けた国の公共事業を支えた。

ルネサンスのフィレンツェでは、貴族や、聖職者や、新興階級の商人たちの野心的な計画の資金源として活用された。

エリザベス朝の英国では、王国の領土を拡大し、新しい市場を開拓するために創設された。

米国の南北戦争時代には、北軍の救世主と目され、大陸横断鉄道の建設を通じて国民の再統合に貢献した。

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