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NHKが手掛けている「国際共同制作」の最新事情 知られていない日本固有の物語を世界に届ける

東洋経済オンライン / 2024年5月11日 19時0分

多くの作業と時間を要するというNHKの国際共同制作番組。プロジェクトを推進する安田慎氏に最新事情をお聞きしました(写真:Graphs/PIXTA)

1980年のNHK特集「シルクロード」以来、NHKは国際共同制作の番組プロジェクトを続けてきた。自然科学系ドキュメンタリーや災害報道など大型番組のイメージが強い国際共同制作だが、近年そのジャンルや規模は多岐にわたる。国際共同制作プロジェクトを推進する安田慎氏に話を聞く。

国際共同制作番組ができるまで

NHKの国際共同制作番組は、基本的にはそれぞれの制作現場が主体となっています。「これは共同制作に資する企画である」と考えた時点で、展開センターの国際・大型企画グループ内にある私たち事務局が、制作現場を支援するかたちで国際共同制作の実現に向けた道筋と方策を考えていく、という仕組みになっています。

国際共同制作には大きく2つの種類があり、NHK企画を海外に展開していく場合と、逆に海外の放送局や制作会社が立ち上げた企画に、NHKとして参加する場合があります。今、私たちが力を入れていきたいと思っているのは前者のほうです。その進め方としては、まず制作現場のプロデューサーやディレクターと一緒に、この企画をどのように海外の放送局や制作会社に向けてプレゼンテーションすべきかという話し合いから始まります。

海外の視聴者は、当然ながら日本の視聴者とは関心も志向も異なりますので、対象となる国や地域の人たちの好奇心を満たし、心を揺さぶるストーリーや語り口は一体どのようなものなのか、といった話し合いを重ね、NHKの内部向けに書いた提案を一度分解して、新たに英語の企画書を起こしていきます。

同時に、プレゼンテーションを行う相手を探していくのですが、そのための場としては6月にフランスで行われる「サニーサイド・オブ・ザ・ドック」というドキュメンタリーを中心とした制作者会議や、10月に行われるMIPCOMというコンテンツ見本市などがあります。こうした国際会議に制作者と一緒に出向いて、プレゼンテーションを行います。世界各地の放送局と打ち合わせをしていくなかで、それぞれの地域のトレンドやニーズを把握し、企画書を修正していくんです。

国際共同制作に参加してくれるパートナーが決まると、そこからは、その地域と日本、両方の視聴者に気を配りながら制作を進めていきます。例えばフランスであれば、もう少し詳しい背景説明が必要だとか、科学番組であればヨーロッパの科学者を登場させられないか、といった具体的な要望が上がってきますので、その意見を番組にどう盛り込むかをさらに相談していきます。

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