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バイデン政権を悩ます「悪夢の1968年シナリオ」 大統領選までいよいよ半年弱、カギを握るZ世代

東洋経済オンライン / 2024年5月11日 8時30分

トランプ氏にとっては、来る日も来る日も法廷に身柄を拘束され、さまざまな証言をじっと聞いていなければならないという事態がかなり苦痛のようである。つい法廷で「不規則発言」に及んだり、自前のSNS「ソーシャル・トゥルース」で不満をぶちまけたりしている。

その都度、裁判長に叱られ、ついには罰金を取られ、「今度やったら収監しますよ!」とまで言われている。いや、いくら前大統領だからといっても容赦してはもらえない。なにしろトランプ氏は刑事被告人なのだ。

他方、ジョー・バイデン氏を悩ませているのは中東情勢である。正確に言えば、パレスチナ問題に端を発して各地の大学で発生している「キャンパス・プロテスツ(Campus Protests)」だ。

今どき「学園紛争」とは驚きだが、ニューヨークのコロンビア大学を起点に学生デモが全米に拡散し、これからシーズンを迎える卒業式が中止というケースも増えている。すでに全米で逮捕者が2000人を超えているというから、尋常ではない。

なぜ、大学紛争がバイデン政権にとってマイナスなのか。現在の民主党支持者の間には、「上の世代がイスラエル支持で、若い世代はパレスチナに同情的」という亀裂が入っている。

昨年10月7日に起きたハマスのテロ攻撃に対し、バイデン大統領は当初は明確なイスラエル支援の姿勢だった。しかし、イスラエル軍がガザ地区へ侵攻すると、残虐行為に対する抗議の声が国内で広がり始めた。バイデン政権は途中からネタニヤフ政権に人道的配慮を求めるようになったが、何しろ素直に言うことを聞くような相手ではない。

今の状況は1968年に似ている?

しかるにバイデン氏にとって、若者の支持を失うのは致命的なことである。そうでなくても11月には82歳になる高齢のバイデン氏は、彼らから見て理想の大統領候補者とは程遠い。若者たちが11月の投票日に家で寝てしまうと、それこそ「ほぼトラ」確定ということになりかねない。

最近では、この状況が「1968年に似てきた」とも言われている。プラハの春、パリ五月革命、キング牧師暗殺の年である。アメリカではベトナム反戦デモが猖獗(しょうけつ)を極めた。日本では川端康成がノーベル文学賞を受賞し、東京・府中市で「三億円事件」が発生し、メキシコ五輪ではストライカー釜本邦茂を擁する日本サッカーが銅メダルを獲得した年である。

この年のアメリカ大統領選挙では、民主党のリンドン・ジョンソン大統領が再選出馬するものと目されていた。ところが、ベトナム戦争の泥沼化によって、予備選挙では反戦候補のユージーン・マッカーシー上院議員が大旋風を巻き起こす。するとジョンソン氏は、3月になって出馬辞退を宣言してしまう。

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