バイデン政権を悩ます「悪夢の1968年シナリオ」 大統領選までいよいよ半年弱、カギを握るZ世代
東洋経済オンライン / 2024年5月11日 8時30分
若い世代に対し、大人が苦しい「説得」、あるいは「お説教」を試みている図式である。まあ、いい大人が「君たちの気持ちはよくわかる」なんてことを言い出したら、若者は素直に信じてはいかんだろう。あいにくZ世代は新聞など読んでいないだろうし、それこそTikTokなどで情報を得ているのかもしれない。そして流行のSNSが、中国やロシアの「反イスラエル」世論工作下にあるとの観測も絶えないところだ。
学生たちが言っていることには土台無理がある。彼らの要求どおり、アメリカの大学当局がイスラエルとの関係を絶ったところで、それで戦争を止める効果があるとは考えにくい。反ユダヤ武装勢力であるハマスのことを、まるで「いい人」たちのように勘違いしているのも困ったところだ。何より彼らが学業を妨害し、ほかの学生たちに迷惑をかけ、秩序を乱していることは責められるべきであろう。
カギ握る4000万人超のZ世代
もっと言えば、ベトナム反戦世代は本心では「俺たちのときは徴兵制があったんだ」(命懸けだったんだぜ。お気楽なお前たちとは違うんだよ!)と叫びたいところであろう。世代的に近い筆者としては、その気持ちはよ~くわかる。ただし彼らもまた、上の世代からひんしゅくを買っていたことは忘れてはならないだろう。
このあたり、人類が古来繰り返してきた「近頃の若いやつらは……」という嘆きの繰り返しであって、「世代間ギャップ」以外の何ものでもなさそうだ。そして年寄りの嘆きは、つねに歴史の闇へと消えていく。歴史は若い世代に味方するのだ。当たり前だよね。
現在の10代から20代のことを「Z世代」と呼ぶ。定義的には1996年から2012年生まれを指すことが多い。日本では数が少ないためか今ひとつ目立っていないが、全世界的に見ればとくに新興国では「人口爆発」の世代である。「デジタル・ネイティブ」な彼らは、やがて世の中を大きく変えていくだろう。
アメリカ選挙においても、Z世代は着実に存在感を増している。2020年選挙に比べても4年分有権者が増加しているから、Z世代の有権者は今年4000万人を超えて、全体の17%に達する見込みだ。
「若者は投票しない」と言われつつも、2020年選挙における30歳未満の投票率は50%となり、2016年より11ポイント増加したとのこと。うち6割がバイデン氏に投票したというから、当選の立役者と言っていい。
2024年選挙で彼らがどう動くのか。その答えは半年後にならないとわからない。
この記事に関連するニュース
-
表現の自由か、教育を冒瀆か…大学占拠し反イスラエル抗議 若者の間に広がるトランプ氏への支持【ワシントン報告(17)パレスチナ支持の学生運動】
47NEWS / 2024年6月14日 10時0分
-
アメリカ大統領選は郵便投票が決める?!
Japan In-depth / 2024年6月11日 21時0分
-
米大統領選の予備選終了、バイデン氏とトランプ氏が直接対決する討論会迫る(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月11日 11時0分
-
「トランプ有罪」判決は大統領選に何をもたらすか 「口止め料裁判」ですべての陪審員が有罪の評決
東洋経済オンライン / 2024年6月8日 8時30分
-
「信じ難いほど不人気...」ガザ戦争で逆風のバイデン、再選のカギ握るのは「激戦州の少数派」
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月5日 10時43分
ランキング
-
1「あえて非正規」増加 ウラに潜む“由々しき問題”とは?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月23日 7時30分
-
2オープン7か月で秋田駅「えきちかマルシェ」営業休止へ…「少し高くてもいい品」節約志向に勝てず
読売新聞 / 2024年6月23日 14時34分
-
3平日続きの6月に休日をつくるとしたら…池上彰さんが「6月23日」を挙げる理由
文春オンライン / 2024年6月23日 6時0分
-
4「ホンダジェット=上級国民専用飛行機」の常識変わるかも? 「カーシェア」ならぬ「ジェット機シェア」今後拡大へ
乗りものニュース / 2024年6月23日 11時12分
-
5腐らせ食材ナンバー1"もやし"冷凍保存の裏ワザ 目からウロコ「激カンタン」保存&解凍法を紹介
東洋経済オンライン / 2024年6月23日 13時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)