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「敵国攻撃能力」を備えて日本は何を狙うのか 中国・海南島の中国海軍基地が第1目標だ

東洋経済オンライン / 2024年5月11日 8時0分

日本の対中軍事戦略もその方向にシフトしている。海自が進める南シナ海展開も同様の理由である。これまでは親善使節に近い練習艦隊が通過する程度であった。それが最近では実戦部隊の軽空母や護衛艦、潜水艦を送り込んでいる。

日本潜水艦の大型化もこの文脈で理解できる。1990年代末に登場した「おやしお」級以降は、従来潜水艦の1.5倍から2倍の大きさになっている。これも南シナ海での作戦活動のためと見るのが自然である。

フィリピン軍事援助も同じ目的で解釈できる。日本が背後につくことで同国は中国に対して強気になる。それにより南沙問題などの泥沼化が期待できる。つまりは中国の力をそげるのである。

攻撃目標はどこか

日本の敵国攻撃能力は何を目標とするのだろうか。候補はいくつも考えられる。

例えば、エネルギー輸送路である。中央アジアや四川省の天然ガスを沿岸部まで送る西気東輸、川気東送パイプラインである。ミャンマーと昆明を結ぶ中緬油気管道を加えてもよい。いずれも攻撃すれば中国は防御強化を図る。

また、鉄道施設も有力な攻撃目標となる。長江を跨ぐ15の鉄道橋は中国南北交通の隘路である。ここも戦時に攻撃すれば過度の反応を引き起こす。

実際に、指摘しただけで解放軍が反応したことがある。筆者は10年ほど前に「橋のうち4ないし7を落とせば中国戦争経済は崩壊する」と軍事専門誌に書いた。すると解放軍は33年間も実施しなかった長江での仮設橋展開演習を再開した。

衛星発射基地も好目標となる。酒泉基地(甘粛省)ほかへの攻撃は低リスクなので安心して実施できる。

まず中国の市民生活や周辺の民間人を巻き添えにしない。そのうえで報復を受けても日本も困らない、種子島や内浦湾が攻撃されても市民生活や周辺住民への影響はない。

ただ、その中でも目標として間違いないのは、海南島の中国海軍基地だ。まずここを、日本の敵国攻撃能力は目標とする。

なぜなら目標としての3条件をすべて満たすからである。戦争を有利にする、攻撃成功も見込める、攻撃実施に困難は伴わない。海南島はそのいずれも満足する、ほぼ唯一の目標である。

戦争を有利にできるか

第1に、戦争を有利にする効果は間違いないことである。中国が最も重視する戦力は何だろうか。戦略原潜と空母である。どちらも対米抑止には欠かせない。

戦略原潜は核反撃能力の要である。中国戦略原潜が生き残る限りは、アメリカは中国との戦争をためらう。またアメリカの先制核攻撃を封じることもできる。

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