「敵国攻撃能力」を備えて日本は何を狙うのか 中国・海南島の中国海軍基地が第1目標だ
東洋経済オンライン / 2024年5月11日 8時0分
海南島は既存装備と導入ミサイルで攻撃可能である。最有力は潜水艦からのトマホーク攻撃となる。同ミサイルには魚雷発射管対応型があり、すべての海自潜水艦から発射できる。南シナ海への侵入もそれほど難しくもない。しかも攻撃は奇襲的となる。
ちなみに、海自潜水艦は今の段階でも海南島を攻撃できる。艦船攻撃用としてハープーン・ミサイルを採用しているが、2015年以降に購入したブロック2型は限定的だが陸上攻撃機能がある。
「いずも」級軽空母と空自F-35B戦闘機を使うやり方もある。フィリピンを東回りでスールー海まで進出し、そこからF-35を発艦させマレーシアとの国際海峡であるバラバック海峡経由で南シナ海に送り込む。そのやり方でも海南島は攻撃圏内に入る。
導入ミサイル次第では陸上哨戒機による攻撃も可能となる。P-3やP-1哨戒機とLRASMミサイルの組み合わせなら鹿屋や岩国、硫黄島から海南島を攻撃できる。そのいずれも実施困難ではない。
潜水艦は敵制海権下に容易に侵入できる。また海南島付近ではアメリカや豪州、ベトナム、台湾の潜水艦が活動している。中国は戦時に潜水艦を発見しても日本潜水艦との確証が得られるまでは攻撃はできない。
艦隊も南シナ海に入らなければそれほどの危険はない。日本列島・南西諸島・フィリピンを結ぶ第1列島線の東側は、概ね安全である。そこでは日本の陸上哨戒機や早期警戒管制機の支援も得られる。
陸上哨戒機もフィリピン西岸に沿って飛べばおそらく迎撃は受けない。飛行距離が長いので迂回は差し支えない。巡航ミサイルも海南島の南側から発射すれば防空網突破も容易となるだろう。
そのうえで攻撃対象としても軋轢を生じない。軍艦や軍港は軍隊に属しており攻撃は何らの問題を生じない。交通施設のように軍事目標だが民間人を巻き込むおそれがある目標とは異なっている。
攻撃目標としての3条件を満たす海南島
海南島攻撃は攻撃目標としての条件を満たしている。その点で敵国攻撃の対象として適当であり、それゆえに攻撃目標として選択されるのである。ただし、これは海南島攻撃が最も優れた攻撃目標であるというわけではない。
戦力分散を強要する効果ならパイプラインや鉄道橋への攻撃のほうが優れている。アメリカの立場なら両者への攻撃を重視するだろう。
しかし、日本からすれば攻撃困難である。前者は距離の問題、後者には防空網突破や攻撃規模の問題がある。
対して海南島は日本の戦力規模でも実現できる。そのために海南島が攻撃目標として適当であり攻撃力を指向する目標となるのである。
文谷 数重:軍事ライター
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