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なぜ若者は怒られると過剰に反応してしまうのか 上司にとって「怒らない=最適解」になる病理

東洋経済オンライン / 2024年5月15日 6時50分

「職場で怒られない」若者の割合が急増しているが、怒られない職場では2つの問題が生じるという(写真:mapo/PIXTA)

過酷な労働環境を生み出す企業に対して、ブラック企業という言葉が使われ始めて久しい。しかし、近年は脱ブラック化が進んでおり、労働時間の減少や主観的な仕事の負荷感の軽減も確認されている。加えて、脱ブラック化の1つの象徴として「職場で怒られない」若者の割合が急増していることが挙げられる。

企業組織を研究する東京大学の舟津昌平氏は、経営学における「組織人格」という概念を用いて、なぜ若者たちを怒れなくなったのかを指摘し、怒られない職場では2つの問題が生じると述べる。

本記事では、舟津氏の著書『Z世代化する社会』より一部抜粋・再構成のうえ、怒られない職場の病理を明らかにする。

「怒られない若者たち」の裏にある事情

当たり前だが怒る(怒られる)というのは古今東西世にあふれる普遍的な現象だ。そして誰しも、怒られるのはイヤだ。だが現代の若者は、怒られなくなっている。リクルートワークス研究所の調査によると、「新入社員期に上司・先輩から一度も叱責されなかった」割合は、約20年で9.6%から25.2%まで上昇している。

なぜだろうか。普通に考えたら、優等生は怒られないし、悪ガキは怒られる。世の若者は良いヤツばっかになったのだろうか。

違う。明らかに、オトナが怒らなくなったのだ。つまり怒られなくなったのはZ世代のせいではなく、オトナの事情なのである。

怒るということが社会規範として否定されつつある、という流れは見逃せない。アンガーマネジメントという概念が流行るように、怒る人はそもそも間違っていて、なんかの病気かもしれなくて、人前で怒ること自体が恥ずかしいし避けられるべきだ、という志向がますます定着している。

これは、怒ることには教育効果がないから止めようというより、怒ること自体を絶対的に否定する時代の流れである。

よく出るのが、怒るのではなく叱るべきだ、みたいな話。アンガーマネジメントの講習でも、頭ごなしに感情に任せて怒るのでなく、相手を否定せず改善点を丁寧に伝え同意を確かめながら諭す、これが叱るである、みたいなのはよく聞く。言いたいことはわかるけども、暴論を承知で、そんなのは言葉をいじっただけの唯言の産物であり、実践的にはほとんど意味を持たない。

実際、現場はもっとシビアに振り切っている。「怒るということ」について雑談していたところ、とある大企業の管理職の方が言い放った。

「いやもうね、怒ると叱るとは違うとか、もはやそういう問題じゃないんだよね。会社の研修でも、もう絶対怒らないでください、叱るとか諭すとか関係なく、それに類すると思われるようなことは一切止めてください、って言われるよ」

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