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「ドローン急襲」想定しない日本のヤバい防衛体制 「いずも」上空から撮影ができてしまう事情

東洋経済オンライン / 2024年5月15日 11時0分

2000年にアメリカ海軍のUSSコールが自爆ボートに襲撃された事件をきっかけに軍艦用に海軍型が開発され、各国海軍が急速に採用してきた。これは高速艇など水上の脅威だけではなく、ドローンに対処することが可能だからだ。

2001年12月22日に海自は海上保安庁とともに北朝鮮不審船追撃という「実戦」も経験している。また2009年3月13日、我が国はソマリア沖・アデン湾における海賊行為対処のための海上警備行動を発令し、翌3月14日、海上自衛隊の護衛艦2隻をソマリアに向けて出航させ、以後も海賊対処の派遣は続いている。このような近接戦闘の重要性を痛感すべき「実戦」を経験しているのにその備えに極めて鈍感である。

だが海自のRWSの導入は遅かった。海自がRWSの導入を始めたのは2019年、RWSはもがみ級FFM(多目的フリゲート)および、あさひ級DD(汎用護衛艦)二番艦のしらぬいへの搭載からである。これは日本製鋼所が開発した国産RWSで12.7ミリ機銃を搭載しており「水上艦艇用機関銃架(遠隔操作型)」と呼称されている。

このRWSは平成21~23年度までに技術研究本部(現防衛装備庁)が日本製鋼所を主契約者として陸上自衛隊の車輌搭載用として12億円をかけて研究試作されたものをベースにしているが、陸自は採用しておらず、昨年度から導入が始まった次期装輪装甲車にはコングスバーグ社のプロテクターを選定している。

今後建造されるイージスシステム搭載艦には中口径のRWSが搭載される予定である。だが既存の護衛艦やそのほかの艦艇に搭載される気配はない。この5年で43兆円という潤沢な防衛費が手当てされていても、だ。

そして導入されたRWSには重大な欠陥があり、高速艇やドローンへの対処が事実上不可能だ。それは対象との距離を測るためのレーザー測距儀、自動追尾装置がコスト削減のために外されているからだ。これでは高速で移動するハイスピードボートやドローンの射追尾と射撃は困難で、命中は期待できない。

また、RWSは二基しかないので死角が多く、艦後部はがら空きである。左右2基のRWSでは360度の近接防御は不可能である。これまで海自の護衛艦は近接防御用として20ミリガトリング機関砲を装備したCIWS(Close In Weapon System)を搭載していたならば、これである程度RWSの死角をカバーできたが、もがみ級で採用されているSea RAM(Rolling Airframe Missile)は短距離用ミサイルしか搭載していない。このため後部はほぼ死角となる。

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