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「ドローン急襲」想定しない日本のヤバい防衛体制 「いずも」上空から撮影ができてしまう事情

東洋経済オンライン / 2024年5月15日 11時0分

防衛装備庁はその他の銃器は最上級には搭載しないと説明していたが、筆者が批判記事を書いたせいか、その後海幕は他に機銃を搭載すると説明を変えている。

防衛装備庁によるとこのRWSの採用はノルウェー、コングスバーク社製のシー・プロテクターとの比較を実施し、国内品は輸入品に比べ、維持整備が容易であること、海自の所要に合致した陸自要求の研究試作品があったこと等を考慮し、国産品を選択したとのことである。だが実態は単に書類審査をしただけだ。

競合製品のトライアルもせずに開発経験のないメーカーに発注

通常このような装備は実際に競合する製品を複数艦艇に搭載して1年程度のトライアルを行い、各種天候での作動や能力、耐久性などが評価されるのが普通だ。RWSの運用経験がない海自ならば尚更だ。だがこの国産RWSは実際に艦艇に搭載して試験も研究も行っていない。にもかかわらず海自はそれをやらずに要求仕様を作り、国産に決定してRWS開発の経験のないメーカーに丸投げして開発させ、それを採用した。

装甲車向けのRWSはそのまま艦艇用に転用できない。それは海と空しかない海上では陸上と画像の処理が違ってくるからだ。このため画像処理の変更をやらないと目標を的確に捉えられない。さらに陸上よりも耐水、防水性能が求められ、海水による塩害対策も必要だ。採用までの経緯を見ている限りこれらの対処が行われたようには思えない。

なぜこのような胡乱なことになったのか。これは海自がRWSを主として見張り用であり、また単に遠隔で射撃ができればいい、見張りと機銃の要員を兼ねさせればクルーの数を減らせるという考え方のためだろう。

実際に海自はRWS導入の理由を「省人化、省力化及び隊員の安全確保の観点から導入した」また「機関銃を自動化したものであり、従来と同等の運用を行う」と説明している。つまりこのRWS導入は近接防御というよりも省力化が目的だったように思える。

監視要員、機銃の射手と補弾手の3名を1名でこなせるので省力化になるというわけだ。また見張り要員が艦橋横の見張り用の張り出しにでて雨風に耐える必要がなく、ブリッジ内で見張りができるので見張員の負担が軽減できるということだろう。

コスト削減のためにレーザー測距儀や自動追尾装置を外したというが、そのくせ高い国産機銃を採用している。平成30年度に海自は調達単価660万円で2丁の12.7ミリ機銃を調達している。アメリカ軍調達単価は約1400ドルである。国産品の単価はその4.4倍以上である。輸入コストがかかっても160万円程度、悪くても国産の半額以下程度だろう。まとめ買いをすればコストはさらに下がるはずであり、1丁あたり450万円、実に6割程度のコスト削減が可能になるはずだ。なぜそれをやらないのだろうか。陸自は12.7ミリ機銃の調達を国産から輸入に切り替えている。

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