外国人観光客に高い料金「二重価格」設定は差別か 円安で過熱するインバウンド消費を逆手に取る?
東洋経済オンライン / 2024年5月16日 11時20分
では、日本人と外国人で料金に差をつける例はあるだろうか。思い当たるのはむしろ外国人を安くする「ジャパン・レール・パス」だ。外国から日本を観光目的で訪れる人が購入できる格安の全国のJR乗り放題パスだ。新幹線も乗り放題だ(のぞみ号、みずほ号は別途料金がかかる)。
あまりにも安いことに対して批判もあり、最近値上げしたが、それでも普通車用が7日間で5万円だ。このように、外国人向けが高くなる料金設定は、これまで日本ではあまり見かけなかった。
海外ではどうであろうか。筆者自身の経験では台湾のホテルで外国人と自国人との二重価格に接したことがある。ただし、そこでの表記は「自国民優遇料金」だった。自国民である証明書の提示で優遇料金となる。外国人価格を高くするのではなく、自国民価格を安くするという形だった。
そもそも宿泊施設の料金は予約時期、宿泊人数、個人客か団体客か、何泊するのか、予約サイトの相違などで異なるので単純比較が困難だ。また、ホテル側も部屋代の違いがクレームになることを恐れているのか、チェックイン時に料金確認を口頭で行わず、電卓で示し、隣のチェックイン客にはわからないようにしているのではと感じることがたびたびある。
また、コロナ禍のときには「県民割」など、地元民に対して割引する制度が多く見られた。
ただし、外国人か日本人かという線引きで宿泊料金を変えることに関しては、問題ないと言い切れないように感じる。
飲食店での二重価格はさらに難しい。限られた空間で同時に飲食するからだ。同じ料理でも日本語メニューと英語などの外国語メニューで異なる価格にする方法がありえるが、これは「ぼったくり」に映る。また、スマホで画像翻訳も簡単にできる時代だ。
日本人に対して割引する方法は?
日本人には割引するという方法もありえるが、身分証明書などの確認も煩雑となる。また、日本人と外国人が混じったグループの場合はどうするのか、という別の問題が出てくる。SNSが発達した今日、そのようなことをすればたちまち店の悪評が立ち、高くしたいはずの外国人が入店しなくなるということもありえる。
外国人向けのメニューから安い料理を削除してしまうという方法で客単価を上げる方法もある。テレビ番組でオーバーツーリズム問題の解決方法として、海外のある自治体では、生活路線となっているバス路線を外国人向けの地図から消してしまっている事例を紹介していた。同様な手法である。
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