JR東「インドネシア鉄道支援」で得た意外な教訓 「内向き姿勢」からの脱却、車両メンテの重要性
東洋経済オンライン / 2024年5月17日 6時30分
インドネシア・ジャカルタ首都圏の通勤鉄道(Kereta Commuter Indonesia:KCI)を支える、日本から渡った約1000両の中古電車。その約8割強が、2013~2020年にかけて譲渡された元JR東日本の埼京線・横浜線・南武線・武蔵野線の205系車両である。
【写真30枚】2014年3月の営業運行初日、205系の一番列車の発車準備、通勤客を満載してジャカルタに向けて走る上り一番電車の様子など
今年2024年3月5日、205系はジャカルタで走り出してから丸10年を迎えた。JR東日本はKCIと強固な協力体制を築き、車両の譲渡やメンテナンスにとどまらず、現地の鉄道輸送サービス全体の改善に大きな役割を果たしてきた。また、人的な交流はインドネシア側への教育や技術伝承だけでなく、JR東日本の人材育成にも効果をもたらしている。
前編(2024年5月11日付記事・JR東日本が変えた「ジャカルタ通勤鉄道」の10年)に続き、KCIへの初代の出向者として2015年から約2年半、現場の最前線で活躍したJR東日本の前田健吾氏(現・同社鉄道事業本部モビリティ・サービス部門未来創造ユニットリーダー)に、この10年間の振り返りと今後の戦略について聞いた。
【写真】2014年3月の営業運行初日、205系の一番列車の発車準備、たくさんの通勤客を乗せて走る様子など(30枚)
人材交流はJR側にもメリット
――コロナ禍前は、日本から電車区の社員チームがインドネシアの車両基地に来て教育を行っていたほか、車掌や運転関係の社員も来られていました。コロナ後、再開の見込みはあるのでしょうか。
いつまでも日本人が教え続けるのはどうか、というのもあるかもしれない。やはりインドネシアの方々が自立して行うことは大事だ。ただ、KCIの例でいうと、日本人に教えてもらうことが一つのステイタスで、そこを求めているという発言もある。例えば乗務員の訓練に関しては、1人1人、全員に修了証をお渡しすると。そういったことが彼らのモチベーションになっているので、それは大事だ。一方で、インドネシアの方々が自分らで教育するようになるというのもわれわれが目指したいところだ。
よって、今後もあるかどうかという話をすると、鉄道は車両メンテナンスだけではないので、安全の関係や駅ナカ、オペレーションに関わるところなど、活用してもらえるところがあるのならば、どんどん出していきたいとは考えている。
この記事に関連するニュース
-
JR東西がタッグを組む! 在来線車両の装置などを共通化 「垣根を超えて連携を深めたい」
乗りものニュース / 2024年7月5日 15時18分
-
この電車「寝台特急」だったんだぜ…? 凄まじい魔改造の痕跡 ローカル電車への“無理やり転用”なぜ行われたのか
乗りものニュース / 2024年6月29日 7時12分
-
日本の海外支援、「都市鉄道」こそ強みが生かせる ジャカルタ地下鉄が日本式を広める「先生」に
東洋経済オンライン / 2024年6月28日 7時30分
-
JR東日本の技能実習生にインドネシア、ベトナムから新たな仲間が加わります~JR東日本Technical Intern Training 3カ国に拡大~
PR TIMES / 2024年6月27日 16時45分
-
JR西の新型やくも、旧型「暗くて狭い」をどう克服? 目指したのは「我が家のようにくつろげる車内」
東洋経済オンライン / 2024年6月24日 7時30分
ランキング
-
1勢いづく出社回帰 テレワークは消えゆく運命なのか?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月5日 6時35分
-
2妻に先立たれた65歳、年金約17万円・おひとり様シニアを襲う<老後破産へのカウントダウン>
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月3日 9時0分
-
3日本に豊田章男氏がいたのは幸運だった…「EV化の真実」を主張し続けた豊田氏が筆者に明かした「真意」
プレジデントオンライン / 2024年7月5日 8時15分
-
4今度はなんのコラボ? マクドナルドのX、次回の「ハッピーセット」のヒント画像公開...期待高まる
J-CASTニュース / 2024年7月4日 16時49分
-
5もうすぐ50歳の中小企業係長「自分では普通」と思っていたが…給与+αの収入を生む“ベテラン会社員”の思わぬスキル【人材開発コンサルタントが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月5日 10時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください