LINEヤフーへの行政指導が悪手である3つの理由 再発防止に資本関係の見直しが必要なのか
東洋経済オンライン / 2024年5月17日 17時0分
せっかく良好になった日韓関係が、急速に怪しくなってきている。焦点は、読者の皆さんも日常的に使っているであろうLINEだ。
情報漏洩が発生したことを受けて、日本の総務省が再発防止策を運営会社LINEヤフーに求めたまではよかった。ところが、大株主である韓国IT企業ネイバーとの資本関係見直しまで迫ったことが韓国からの強い反発を招いている。
「ネイバーの経営権を剥奪しようという日本政府の企みだ」という構図で受け止められているのだ。
日本のネット上では「また韓国が難癖つけている」「国民的アプリのLINEから韓国企業を排除するのは当然」といった批判的な書き込みがやまない。
だが、通商問題に詳しい日韓双方の専門家からは、総務省の行政指導が悪手だという指摘が相次いで出ている。大きく3点に分けて掘り下げてみたい。
情報流出対策に資本関係見直しが必要?
問題が起きたのは2023年9月以降で、LINE利用者らの個人情報が最大で約52万件流出した。同種の情報流出は世界各地で多発している。ただ、LINEの件がやや特殊であったのは、ハッカーがまず不正にアクセスしたのは韓国のネイバーの子会社であったこと。
そこから日本のLINEに侵入し、情報を抜き取った、というのが大まかな流れだ。
なぜそういう行為が可能だったのか。それは、ネイバーの子会社とLINE(正確には旧LINE社)の認証基盤が共通なものであり、ネイバー子会社がLINEの社内ネットワークに広範囲でアクセスできていたことがあだとなったのだ。もともと、LINEはネイバーの日本法人が開発したSNSでもある。
2024年3月、総務省はLINEを運営するLINEヤフーにセキュリティ対策の強化を求める行政指導を行った。波紋を呼んだのが、ネイバー子会社からのアクセスを制限するといった技術的な改善を求めたのにとどまらず、大株主であるネイバーとの資本関係見直しにまで踏み込んだことだった。
LINEヤフーは、中間持ち株会社であるAホールディングスが株式全体の64%を保有し、そのAホールディングス分をネイバーとソフトバンクが50%ずつ保有している構図だ。
2024年3月、そして翌4月にも行政指導を行った総務省は、2度にわたりこういう文言を文面に盛り込んだ。
「委託先から資本的な支配を相当程度受ける関係の見直しを含め、委託先への適切な管理・監督を機能させるための経営体制の見直し」
ここでいう「委託先」とはネイバーの子会社を指す。ややわかりにくいが、LINEヤフーがITインフラ運用を業務委託しているネイバー子会社のセキュリティ対策に脆弱性があったのが問題の発端だ。
この記事に関連するニュース
-
LINEヤフー、ネイバーとの「短期的な資本の移動は困難」…情報流出防止策の実施状況を総務省に報告
読売新聞 / 2024年7月1日 21時41分
-
短期的な移動は困難伴う=ネイバーとの資本関係見直しでLINEヤフー
ロイター / 2024年7月1日 16時7分
-
「LINEの個人情報漏えい事故は日本企業のせい」と韓国議員が指摘=韓国ネット「日本の自作自演」
Record China / 2024年6月26日 10時0分
-
行政指導が日韓関係に波紋? 首脳会談でLINE問題が議題に
財界オンライン / 2024年6月11日 18時0分
-
LINE経営巡る日韓のギャップ【平井久志×リアルワールド】
OVO [オーヴォ] / 2024年6月8日 10時31分
ランキング
-
1NYで人脈構築の小室圭さん、対照的な生活の眞子さんは「ほとんど外出せず」紀子さまが抱える“複数”の不安
週刊女性PRIME / 2024年7月4日 7時0分
-
2実刑判決で「頭が真っ白に」 法廷に両親の涙 静岡バス置き去り死
毎日新聞 / 2024年7月4日 20時58分
-
3「紅麹」サプリ問題、調査中の死亡事例81人に…先月末から5人増
読売新聞 / 2024年7月4日 20時59分
-
4「魚民」の大量閉店は“大正解”か。運営企業「モンテローザ」の“稼ぐ力”は他社を圧倒
日刊SPA! / 2024年7月4日 8時53分
-
5新潟上越市でマンホール点検中の男性死亡 夕方になっても帰社せず捜索、マンホール内で意識不明の状態で発見
新潟日報 / 2024年7月4日 23時40分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)