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シングル化を招く「柔軟性のない結婚と家族制度」 地方圏で根深く続く「伝統的結婚慣習や家意識」

東洋経済オンライン / 2024年5月20日 9時0分

地方の女性差別的慣習を忌避し、「自由」を求めて東京に移る女性は多い(写真:Graphs/PIXTA)

未婚率全国トップの東京23区で進む「日本の未来」とは。孤独担当大臣も知らない、35歳から64歳の「都市型」の自由と孤独に焦点を当てた『東京ミドル期シングルの衝撃:「ひとり」社会のゆくえ』が上梓された。同書の著者の一人である宮本みち子氏が、「親密圏」という視点から「シングル化」が抱える課題を読み解く。

東京区部の「自由」という魅力

東京区部は、若い人々を惹きつけている。この土地の魅力は豊富な仕事の機会と賃金の高さにある。それに加えて、高度に発達した商業施設、文化施設、教育機関、交通インフラなどにもある。

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しかしそれだけではない。

今後区部への流入がより増加すると推計されている女性に限ってみると、古い規範や慣習の束縛のない“自由”という魅力が男性以上に女性を惹きつけている。

地方圏の古い慣習、とくに女性差別的慣習が女性の県外流出を促している。結婚しないことも離婚することも、社会規範からどれだけ自由であるかによってストレスになったりならなかったりする。

東京での単身生活は自由と主体性を求める人々の格好のライフスタイルになっているのである。

ミドル期シングルは、すでに2020年に東京区部ミドル期人口の3割近くを占めており、これ以後も上昇が続くことが予想されている。地方圏の大都市はその傾向を後追いしている。

共に暮らす家族がいないシングルの増加は、この国で家族というものがドラスティックに変容していることを象徴している。その意味を考えてみよう。シングルは、長期にわたってすべてのニーズを自力で充足することができるだろうか。それを親密圏という用語でみてみよう。

親密圏とは、具体的な他者との間の、関心と配慮によって結びつく持続的な関係性を指す用語である。親密圏は心の拠り所である。また、人と人とをつなぐ関係性が「他者の生命・身体への配慮」で成り立ち、相互に支え合うことができる関係である。家族は親密圏の核となるものだがこれに限られるものではない。状況によっては、親しい友人・知人なども親密圏になりうる。しかしその例は今のところ多くない。

親密圏は、継続的な性的関係の単位、生殖単位、子育て単位、生活単位、家事や介護等の無償のケア単位、親密な感情でつながる単位である。近代では、これらの単位は結婚した夫婦が形成する家族とイコールか擬制だった。そして法制度は、このことを前提として人々の生活の再生産を枠づけてきた。

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