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商社勤務でも苦しい…23区「億ション」だらけの訳 高騰続くマンション価格が"適正"なカラクリ

東洋経済オンライン / 2024年5月21日 12時30分

日本の普通の大企業で比較的給与水準が高いのが総合商社です。会社四季報によれば総合商社で純利益額トップの三井物産の社員の平均的な給与は42.3歳で1783万円です。これは本当に偶然ですが、今がちょうどギリの水準です。つまり23区内のマンションは三井物産の社員でも平均以下の広さの部屋しかローンが組めなくなった。ここからさらにちょっとでも値上がりすると、物産の社員でも単独では平均の物件は買えなくなるという話です。

ちなみに、やはり平均的な給与が安定して高いという評判がある三井不動産の場合、40.2歳の従業員の平均年収は1269万円です。単純計算では三井不動産の社員は23区内では46㎡の広さのマンションしか買えないことになります。

「このことを三井のすずちゃんはどう考えているの?」

と思いますよね?

ということでこの記事では東京23区の新築マンションの平均価格が1億2476万円という水準になることが経済的に正しいのかどうかを検討してみたいと思います。

若い読者の方はあまりピンと来ないかもしれませんが、実は私の世代はマンションの価格がこのような値段になる時代を若いころに経験しています。ちょうど私が20代後半の頃にバブル経済がやってきて、その頃は真剣に、「これからは若い世代は家は買えない時代がやってくるよ」と言われていたのです。

私はコンサル会社に勤めていたので同世代よりはやや年収は多かったのですが、それでも住宅ローンは4000万円ぐらいしか組めませんでした。それで買える物件というと23区内は無理で、都下、それも都心から1時間以上通勤でかかるところでないと無理だと言われたものです。

当時、首都圏では中央線の八王子からさらに先、山梨県の上野原市から大月市あたりの、それまでの常識ではとうてい東京への通勤圏内とは思われなかったようなところまで不動産開発が進み、2時間通勤をするサラリーマンが普通に職場にいた時代でもありました。

「これから不動産価格はもっと上がるのだから、無理をしてでも買っておいたほうがいい」という経済評論家によるアドバイスが当然のようにメディアを通じて流れていました。しかし、歴史を見るとそれは間違いで、もう買えないと思ったときがバブル当時の価格のピークでした。

マンションの価格はこの先どうなる?

その後、バブルが崩壊して不動産価格は再び、普通のビジネスパーソンの手に入る価格へと下落します。価格が崩壊した後になって初めて、「当時の価格は実需からかけ離れていた。金融緩和がもたらしたマネーゲームの結果であって、実体を伴う価格ではなかったのだ」と別の経済評論家に説明されたというのが私の世代の実体験です。

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