1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

商社勤務でも苦しい…23区「億ション」だらけの訳 高騰続くマンション価格が"適正"なカラクリ

東洋経済オンライン / 2024年5月21日 12時30分

という3つの違いです。

全体の供給戸数が少ない中で、一部の優良物件が平均価格を押し上げていて、さらに建設資材などコストの上昇が新築物件の価格を押し上げているとしたら、その平均価格が高いのは合理性があると言えるわけです。

むしろ1億2000万円の物件を背伸びして購入したとしても、仮に10年後に同じ価格で売却できるのだとしたら、6000万円の狭い物件を購入して10年後に4000万円で手放すよりも経済的にいい投資だという考えも成り立ちます。

だとしたら優良な物件の価格を外国人がどうとらえているのかが重要だということになります。そこで23区内のマンションの平均価格をドルに直したグラフを見てみましょう。

一目でわかることはアメリカ人の目から見れば東京のマンション価格は日本人が感じるほどは値上がりしてはいません。特に日本人から見れば極端に価格が跳ね上がった2020年代は今年以外は別に値段が上がっているわけではないことがわかります。

物価の上昇を差し引いたらどうなるか

さて、ここまでのグラフでも、「外国人が日本の都心に不動産を買いたいと思ったら、その価格は過去からそれほど変わっていない」ということが読み取れるのですが、ここでもう一段解、経済評論家らしいマニアックな分析を加えてみます。

「物価の上昇を差し引いたらどう見えるのでしょうか?」

という要素を加えてみます。

最近、よく経済のニュースで、「今、アメリカに行くと物価が恐ろしく高い」という話を耳にします。「ラーメン一杯がハワイでは、昔は800円だったのに、今は2000円だよ。信じられる?」というわけです。

そう遠くない昔に800円だったラーメンが2000円に値上がりするということは物価が2.5倍になっているというわけです。日本人の感覚としては非常に正しいのですが、実はこの2.5倍のインフレというのは日本人の錯覚です。

実際に起きていることは昔一杯10ドルだったラーメンが14ドルに値上がりしているのです。それが十数年前の1ドル=80円の時代には800円で食べることができたのに、最近、1ドル=150円の時代になると2000円もかかるというわけです。アメリカ人の感覚だと10数年で物価は1.4倍にしか上がっていないのに、為替レートのせいで日本人はアメリカの物価が2.5倍に上がっているように錯覚するわけです。

そしてアメリカ人から見るとこの逆の錯覚が起きています。日本は長期のデフレのせいで十数年前は1000円だったラーメンが今でも一杯1100円で食べられます。ところがアメリカ人から見れば十数年前に13ドルだったラーメンが7ドルと激安で食べられるように見える。だからインバウンドの外国人は日本に来て「安い、安い」と狂喜乱舞するのです。

日本のマンションが安く見えるワケ

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください