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商社勤務でも苦しい…23区「億ション」だらけの訳 高騰続くマンション価格が"適正"なカラクリ

東洋経済オンライン / 2024年5月21日 12時30分

それで今さらですが平均のマンション価格が1億2476万円という時代を再び迎えてみて、この価格はこの先どうなるのだろうか?と思うわけです。それを考えるために、まずは過去のマンション価格事情を振り返ってみることにします。

今から15年前、2009年のマンション価格がどうだったかというと、同じく不動産経済研究所の過去のデータを見てみると23区内の新築マンションの平均価格は5190万円で、広さを逆算すると65㎡、つまりほぼ同じ広さのマンションが半額以下という時代でした。この価格だったらたとえば1000万円の頭金を貯めれば、残りは年収600万円の共稼ぎ世帯が住宅ローンを組んでも年収の7倍で収まった計算です。

15年前の会社四季報を調べてみるとこの年の三井物産の社員の年収は41.6歳で1373万円でした。7倍を上限として計算すると9600万円の住宅ローンを組むことができ、23区内に広さ120㎡の豪華なマンションを購入することができた計算です。

つまり当時の日本は平均的なビジネスパーソンは平均的な新築マンションが買え、三井物産の社員は他人が羨むようなゴージャスなマンションが買えたのです。

2014年の平均価格は6032万円だった

それからしばらくの間もマンション価格はそれほど大きくは動きません。10年前の2014年でも平均価格は6032万円でした。アベノミクス以降、平均価格は上がり始めますが、当時は広い部屋ブームがおきていて同じ平米単価ではまだ価格上昇は緩やかでした。それがわかりやすく急上昇に転じるのが2017年以降です。

この年、初めて23区内の新築マンション価格の平均は7000万円を超え、2021年には8000万円を超え、あとは毎年、幾何級数的に値上がりして直近でついに10年前の倍の価格に平均価格が上昇したのです。

バブルの頃を経験している身としては、「これは怖いな。異次元の金融緩和をしているという点も似ているし、この先、日銀が金利を上げたら価格は下落に転じて6000万円まで半減しちゃうんじゃないのか?」と心配になる水準です。

ただ実はバブルのときの高価格と今のマンション価格には3つ違う点があります。

それは、

1. 年々供給戸数が減っていて、その結果もあり、タワーマンションなど都心部の高級な再開発物件の価格が全体を押し上げている
2. バブルのときは土地の価格が裏付けなく上がったが、今はむしろ建築資材や建設コストがマンション価格を押し上げている。つまり実需としてのコストが上昇している
3. 高額物件は外国人投資家の購入比率が高いが、彼らはこの不動産価格が高いとは考えていない

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