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フランスで増加「環境問題で引きこもる子」のなぜ ジャーナリストの西村カリン氏に話を聞いた

東洋経済オンライン / 2024年5月25日 13時30分

日本でも、フランスでも、学校現場で学ぶ環境問題。子どもたちの意識が違うのはなぜなのでしょうか(画像:花咲かずなり / PIXTA)

答えをはぐらかす日本の政治家にフランス人記者が食い下がる姿を、記者会見の動画で見たことがある人もいるかもしれない。フランスから来日して25年、西村カリンさんはジャーナリストとして活躍する。カリンさんは、日本人漫画家・じゃんぽ〜る西さんと結婚。現在、日本の公立小学校に通う11歳の長男と6歳の次男を育てている。そんなカリンさんの著書『フランス人記者、日本の学校に驚く』は、日仏の教育比較がテーマだ。「日仏の学校の『いいとこどり』をすれば子どもたちはもっと幸せになれる」というカリンさんに、日仏の環境意識の差について語ってもらった。

肉を食べず、飛行機に乗らない若者

──ヨーロッパでは気候変動への不安から引きこもる若者が増えていると本で紹介されています。なぜそのようなことが起こっているのでしょうか。

【写真】日本でジャーナリストとして活躍する、西村カリンさん

ヨーロッパではどの国にも必ず、環境保護を強く主張する「エコロジー政党」があるからだと思います。環境問題について見聞きする機会が多くなり、必然的に若者の環境意識は非常に高くなる。こうした政党は日本にはありませんよね。

近年の異常気象も理由の1つです。フランスでは、私が子どものころはエアコンなしで過ごせたのに、今では気温が30度を超え、40度になる日もあります。夏は蒸し暑くてエアコンを使うのが当たり前の日本と違い、異常気象を肌で感じているんだと思います。

ただ、そのせいで気候変動による不安症(エコ・アンクシエテ)になる若者が増えていることには私も驚きました。特に中学生や高校生、社会人になったばかりの若者に多いようです。

地球にダメージを与えるからと肉を食べずヴィーガンになる。CO2排出量を増やしたくないから飛行機に乗らず、海外に行かない。世界の人口は限界に近づきつつあるから子どもは持たない──。それがエスカレートして、引きこもりやうつ病になる若者もいます。

街中の広告トラックへの疑問

──日本では気候変動を気に病む若者の話はあまり聞きません。

昔から自然災害が多いから、ヨーロッパのような危機感を肌で感じにくいのかもしれませんね。日本が気候変動の影響を受けていないわけではないと思うのですが、なぜか誰も気にしていないように見えます。

G7のような国際会議の場で、日本政府は「エネルギー消費量を減らします」と宣言しています。でも、私から見れば具体的な対策をしているとは思えません。

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