カワサキ「Z7ハイブリッド」バイク電動化の未来 発売目前の新型バイクから電動化戦略を考える
東洋経済オンライン / 2024年5月26日 11時10分
とくにモーターだけで走るEVモードがあるのは、ハイブリッド車ならではといえるだろう。
さらに、スポーツ-ハイブリッドで走行する際には、瞬時の加速を要するときなどに5秒間使用できる「e-ブースト(e-boost)」というモードも使える。これは、600ccクラスの車体ながら、200PSの1000ccスーパースポーツ並みの加速性能を発揮するというもの。例えば、高速道路などで、本線への合流車線を走る際や、前車を追い越す時など、鋭い加速が必要な場合に便利な機能といえるだろう。
ほかにも、駐輪場などで、車体を押し歩きする際などに便利な「ウォークモード」も設定。200kgを超える比較的重い車体を、取りまわしするのが苦手なライダーなどにはありがたい機能だ。しかも、後進機能付きだから、せまい場所へ駐輪するときなど、車体を押しながら前進やバックを繰り返すシーンで役立ちそうだ。
カワサキの電動化戦略
気になる価格だが、Z7ハイブリッドは、税込み184万8000円(ニンジャ7ハイブリッドも同価格)。車格が近い600ccクラスのZ650が101万2000円だから、80万円以上高い設定だ。この価格差で、先述したようなハイブリッド車ならではの走行性能に、ユーザーが価値を見いだすかは非常に興味深いところだ。筆者的には、とくにe-ブーストは気になるところ。5秒間の限定とはいえ、1000ccのハイパワーモデルと同等の加速感を体感できるというのは面白い。
また、例えば、早朝や深夜に住宅街を走るようなシーンでは、静かに走ることのできるEVモードを使えば、気を使わずに済むといった利点もあるだろう。ただし、それにプラス80万円を出すのかは微妙ではないだろうか。もっとも、4輪車でもそうだったように、バイクでも、今後ハイブリッド車の販売台数が伸びてくれば、価格的にも抑えられる可能性はあるだろうが。
ちなみにカワサキでは、こうしたハイブリッドモデルだけでなく、100%電気とモーターで走る原付二種バイク相当のBEVモデル「ニンジャ e-1」と「Z e-1」も国内導入。2024年1月13日より発売しており、フルカウルのニンジャ e-1が106万7000円、ネイキッドのZ e-1が101万2000円となっている。
BEVの国産バイクでは、現在、商用向けスクーターが多いなか、スポーツモデルを出したのは、カワサキらしい点だ。スクーターはもちろん、50ccなどの小排気量モデルもラインナップに持たない、同社の独自路線を象徴している。ただし、原付二種のバイクで、100万円を超えるのは、ちょっと割高な印象だ。もちろん、これらはCEV補助金(令和5年度補正の場合で12万円)などを使えば、安く購入することが可能。
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