NHKドラマPが語る「女性を描く作品」なぜ増えた 話題作「燕は戻ってこない」を制作した背景
東洋経済オンライン / 2024年5月28日 19時0分
「いつになったら女の人ばかりがつらい思いをする世の中が終わるのかしら」
【写真を見る】ドラマ『燕は戻ってこない」をプロデュースした板垣麻衣子さん
NHKの連続テレビ小説『虎に翼』の主人公・寅子は嘆く。
残念ながらそんな世の中は1000年前も、100年前も、そして現在も終わっていないのだということに、NHKのドラマを見ていると気づかされる。
“女性がつらい思いをする世の中”を描くNHK
現在放送中の、紫式部を主人公に平安時代を描いた大河ドラマ『光る君へ』や、『虎に翼』が“女性の生きづらさ”を描いていると評判になっている。そして、同じく同局で4月末から放送を開始したドラマ10『燕は戻ってこない』では、日本では法的にはまだ認められていない“代理母”を探す夫婦と、それを受け入れる女性を描く。
東京で手取り14万円で暮らし、「腹の底から金と安心がほしい」と感じる主人公に、不妊に悩む夫婦、女性向け風俗のエピソードまで登場し、早くも話題作となっている。
なぜこんなにも同時多発的にNHKは“女性がつらい思いをする世の中”を描くのだろうか? そして、それらは確かに良作ぞろいではあるものの、「女性が共感!」といった言葉で簡単にまとめてしまってよいものなのだろうか?
『燕は戻ってこない』のプロデューサーで、大河ドラマ『青天を衝け』や連続テレビ小説『らんまん』をプロデュースしてきた板垣麻衣子さんに話を聞いた。
『燕は戻ってこない』は、吉川英治文学賞・毎日芸術賞をW受賞した桐野夏生の同名小説のドラマ化だ。
派遣社員として暮らす大石理紀(以下、リキ。石橋静河)は、職場の同僚から「卵子提供」をして金を稼ごうと誘われる。実際に生殖医療エージェントで面談を受けると、「卵子提供」ではなく、さらに報酬の高い「代理出産」を持ち掛けられ、悩む。
一方、元バレエダンサーの草桶基(稲垣吾郎)とその妻・悠子(内田有紀)は不妊治療をする夫婦。エージェントを経由してリキと出会い、高額の報酬と引き換えに2人の子を産んでもらうことになる。しかし、出産までの過程で、リキとの交流や基の母・千味子(黒木瞳)の思惑に触れ、夫婦に温度差が出てくる――。
「答えの出ない問題」を描く必要性
2022年の発売当時、原作を読んだ板垣さんはすぐにドラマ化に思い至ったという。
「原作の登場人物全員が魅力的で、とても面白く読みました。そのうえで、命というのは普遍的なテーマである一方、生殖医療の進歩と問題点というのはすごく今日的なテーマだな、と。
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