他人事ではない「水原一平騒動」に経営者が学ぶ事 問題点はチーム大谷のガバナンス欠落にある
東洋経済オンライン / 2024年5月30日 10時0分
元通訳の水原一平被告が、大谷翔平選手の口座から26億円あまりを違法賭博の関係者に対して不正送金したとし、アメリカ捜査当局から銀行詐欺罪などの罪で訴追されている騒動。6月4日に行われる罪状認否で水原氏は起訴の内容を認める見通しだと、複数メディアで報じられています。
日本中に衝撃が走ったこの騒動ですが、経営者にとっては、対岸の火事ではありません。
「自分は営業しか見ないで、他は信頼している右腕にすべて任せる」「自分は忙しいから、スタッフはすべて右腕を通して話をしてほしい」「大手に頼んでいるから、安心だ」「誰も問題点を言ってこないから、大丈夫だ」
こんな言葉を多くの経営者の方は聞いたことや、もしかするとご自身で口にしたことがあるのではないでしょうか。
ガバナンスの欠落が最大の問題点だった
これらの言葉が示すものはガバナンスの欠落です。そして、今回の問題の根本要因も、まさしく「チーム大谷」としてのガバナンスの欠落にあります。
一般企業においては、本社の目が届きにくい、海外支社でよく起こっているように見受けられます。
チーム大谷の中でどうしてこのような事態が起こってしまったのか。今回の騒動から日本の経営者が学ぶべきところはどこにあるのか。推定無罪の原則を踏まえつつ、アメリカ捜査当局が裁判所に提出した訴状の主張に基づいて分析していきます。
まず本題に入る前に、チーム大谷を1つの会社として考えてみましょう。
大谷社長は得意の営業だけに集中、社長からの信頼が厚い右腕の水原氏は、営業以外の一切を切り盛りする体制が作られました。
その甲斐もあって、会社の売り上げは10年の長期契約で1000億円以上が確定。そのほかの提携案件も、年間数十億円の売り上げがあるほどに成長しました。まさに夢のような成長を遂げたわけです。
このように、社長を大谷選手、右腕を水原氏、営業を野球に置き換えれば、チーム大谷が10年で売り上げ2000億円近くを稼ぐ巨大企業であることが、わかると思います。
推定年間売り上げ200億円という点で、実際にある日本の企業と比較をすると、東証プライム上場会社である、システムサポート社の売り上げ規模とほぼ同じ規模です。
チーム大谷は、おそらく非常に高い利益率と成長率であると想定すると、売り上げ、利益率ともに超優良企業として上場できる規模だといえるでしょう。
訴状で明らかになったさまざまな実態
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