他人事ではない「水原一平騒動」に経営者が学ぶ事 問題点はチーム大谷のガバナンス欠落にある
東洋経済オンライン / 2024年5月30日 10時0分
そのチーム大谷の経営実態が、アメリカ捜査当局による水原氏に対する訴状で赤裸々になりました。
英語がまだ堪能ではなかった大谷選手のために、通訳として球団から雇われていた水原氏ですが、訴状によると、球団との雇用契約とは別に大谷選手と契約を行い、“実質的なマネージャー”として日常生活を含めて大谷選手のサポートをしていたとのことです。
そんな水原氏が引き起こした今回の騒動は、大谷選手が銀行口座を開設した際に、水原氏が通訳として同行し、IDやパスワードの設定のときも同席していたことで、これらが漏洩したことに端を発します。
それだけではなく、巨額な送金の際に必要となる、「秘密の質問」と「答え」さえ漏洩していた結果、水原氏が大谷選手本人を装い、違法賭博の関係者への送金が行われました。
しかし、大谷選手は、本来は自分しか知りえないオンライン銀行のアクセスに必要なIDやパスワードを第三者に漏洩させてしまった後に、それらを変更することをしませんでした。
通常、オンライン銀行の利用規約ではIDやパスワードの管理に関して、第三者に漏洩した際の不正送金に関する注意喚起や、漏洩した際には迅速に銀行側に連絡をする必要があるといった義務を利用者に課しています。
もし今回の不正送金に関して、大谷選手が銀行に補償を要求した場合、口座開設のIDやパスワードの設定をする場に、通訳といえども第三者である水原氏を同行させたのは大谷選手自身の判断であり、漏洩したIDやパスワードの変更を行わなかったのも大谷選手の責任として、銀行側が拒否する根拠になるかもしれません。
また、何十億円という給与が支払われる自身の給与口座を大谷選手は数年間放置していて、不正に気がつかない状態だったと報じられています。
大手に任せているから大丈夫という放漫
信頼関係が築けていたからこそ右腕による不正に気づけなかったというのは、一般企業のオーナーにも言える話かもしれません。
仕事からプライベートまですべてを把握している人物を右腕として置くのは、時としてリスクを伴います。
では大谷選手の場合、水原氏以外の人物を通訳として雇う選択肢はそもそもなかったのでしょうか。問題は、チーム大谷としてともに動く、代理店にもあります。
大谷選手のエージェントであるネズ・バレロ氏は、CAAスポーツに所属しています。CAAスポーツは、トム・ハンクス氏など著名なクライアントを抱えるエージェント企業、CAAのスポーツ部門です。大谷選手の代理人として理想的な大手企業であり、安心だと思われる方も多いのではないでしょうか。
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