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他人事ではない「水原一平騒動」に経営者が学ぶ事 問題点はチーム大谷のガバナンス欠落にある

東洋経済オンライン / 2024年5月30日 10時0分

残念ながら法律の世界でも、日本の弁護士がクライアントから海外の案件を受託後、海外の法律事務所に実務的な仕事を丸投げし、仲介料を稼ぐような案件も見受けられます。

クライアントとプロフェッショナルが直接契約をしていない仲介のような業態は、倫理的なリスクと問題を抱えている可能性があります。

では今後はチーム大谷としてはどうすればよいでしょうか。そのカギは、やはりガバナンスにあります。

組織においてガバナンスとは、相互チェックと監視によって、誰かに権力が集中するのを避けることにより、不正が起こる隙を作らないという考えです。

水原氏は通訳として野球のフィールドで言葉の壁を取り除くはずが、フィールドの外では情報を分断し、水原氏に情報と意思決定権が集中するように工作していた可能性があります。

情報と意思決定が特定の人に集中し、監視がしっかりとできていない状況。実は、日本企業の海外支社で多く見られます。

誰も海外に赴任したくないのに、彼はずっと行ってくれている。英語も堪能な彼に任せていれば大丈夫。

そんな手放しの信頼をおいて、形式的な監査だけで実質的な相互チェックと監視がされていないような海外支社では、なんとか成果を上げたいと思う現地社員の心理と合わさって、知らない間に大きなリスクを背負い込み、気がついたときには巨大な損失を抱えるような状況に陥りやすいのです。

私が見てきた事例の1つに、上場会社の経営陣が英語が堪能なプロパー社員の言うままに、現地企業との共同経営に乗り出したという話があります。

投資前とは打って変わって、いつまでも上がらない売り上げ、累積赤字だけが積み上がっていきました。

本来であれば全体的なプロジェクトとリスクを検証すべきところを、このプロパー社員は小さなプロジェクトをあえて複数作り、それぞれに別の会計担当と弁護士を雇うことによって、全体のリスクの把握を難しくしていました。

私が顧問弁護士として、全体的なリスクの把握と株主である親会社による監査を助言したところ、そんな必要はないし、その社員は別の弁護士を使うと言い出す始末。結果、数十億円の損失が出ました。

問題を乗り越えるために必要なカギ

チーム大谷が問題を乗り越えて再生していくためには、大手に丸投げをせずに、中身を見て判断する姿勢、No!と言ってくれる、経験豊富なプロフェッショナルの確保、言葉や情報で分断をさせない相互監視体制の構築などが必要だと考えます。それは、日本の企業の経営者にも言えることです。

そして新体制の中心には、野球だけに集中したい大谷選手をCOOとして支えていく真美子夫人がいるとよいのではないでしょうか。目先の利益ではなく、長期の幸せを目標に、チーム大谷2.0が確立されたとき、大谷選手の真の躍進が始まるかもしれません。

吉田 大:ブラックベルトリーガル弁護士法人

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