今年もまた繰り返すの?財政検証後の年金叩き 5年前に「答え」を書いた資料をいまだ放置
東洋経済オンライン / 2024年5月30日 8時0分
この質問に対しては、ほぼ100%の人たちが間違えてくれます。70歳との答えはマシなほうで、90歳だ100歳だとかそれ以上と答える人も出てきます。ところが、答えは66歳9カ月。それを示したのが、資料4の「足下(2019年度)の所得代替率(61.7%)確保に必要な受給開始時期の選択」でした。
2019年に65歳だった人が、20歳から60歳0カ月まで就労して保険料を納付し、65歳0カ月から年金を受給し始めると、現役時の所得に対する所得代替率61.7%の給付水準の年金を受け取ることができます。
そして、1999年生まれの2019年に20歳だった人が、上と同じく、20歳から保険料を拠出して60歳0カ月まで就労して、65歳0カ月から受給し始めると、マクロ経済スライドの調整もあり、彼/彼女の年金給付水準は所得代替率50.8%になる。表は、そういうことを示しています(詳細は、資料4の10ページをご覧ください)。
しかしですね。所得代替率が50.8%になるその彼/彼女が、2019年に65歳になった人と同じ所得代替率61.7%を得ることができるのは、66歳9カ月まで働いて保険料を拠出すればいいわけです。
2019年に20歳だった人(今は25歳)が今の高齢者たちと同じ給付水準の年金を受け取ることができる66歳9カ月になる未来までには、40年近くあるわけですね。40年先の話なのですから、労働市場をそのように変えるのは、そう無理な話ではないように思えます。
そうしたこともあり、「年金が将来何%下がる」というような話には、そりゃ、金融業界をはじめとした「不安産業」の人たちは喜ぶだろうけど、その言葉にどんな意味があるのだろうかとついつい考えてしまうわけです。
年金の給付水準はいろんな要因の影響を受けます。どうして、それらの変数を固定して将来を語ることができるのだろうか――不思議な人がいるもんだという感じで、いつもそうした人たちを眺めています。
さらに、少し専門的な話になりますが、今話題になっている基礎年金45年加入、65歳以上の在職老齢年金の廃止などの制度改正案が実現すれば、先の66歳9カ月は65歳10カ月までに短縮され、2019年度に65歳だった世代と同じ所得代替率を確保できます。そのことが、5年前の財政検証の資料4で示されていたわけです。
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公的年金というのは、どんなふうに働くか、何歳まで働くか、いつから年金を受け取るかなどの組み合わせを変えていけば、ガラリと給付水準が変わります。つまり、自分が受け取る年金額を選ぶことができるわけです。
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