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今年もまた繰り返すの?財政検証後の年金叩き 5年前に「答え」を書いた資料をいまだ放置

東洋経済オンライン / 2024年5月30日 8時0分

この世帯が、40年間保険料を納めると、受け取る年金は夫婦2人分で、19.8万円~24.3万円になり、単身または1人分は、夫婦2人の半分9.9万円~12.1万円になります。

こうした賃金水準、年金の給付水準に属する世帯は、いろいろな世帯類型が考えられます。

同じ共働き世帯でも、ともに正規雇用で就労している人たちもいるでしょうし、共に正規雇用以外で就業している人もいるでしょう。また、この賃金水準に属する人たちには片働き世帯もいます。もちろん、正規雇用で就労している人も入れば、正規雇用以外で就労している人もいます。

世帯類型に関係なく保険料も給付額も平等に設定

そうした世帯類型の人たちは、世帯における1人当たり賃金水準が同じなのであれば、保険料も、年金の給付水準も、そして所得代替率も同じになるわけです。しつこいようですが、年金は、1人当たり賃金が同じならば、世帯類型とは関係なく、負担も給付も同じになるように設計されているからです。

たとえば、年金局が2019年に作った資料4によれば、賃金月額が32.9万円~54.9万円の夫婦世帯には、共働き世帯・共に正規雇用10%、共に正規雇用以外1%、共働きと正規雇用以外12%、そして片働き世帯・正規雇用で就労74%、正規雇用以外3%との世帯類型の分布があることが示されていました。同様に、単身世帯では男女別に正規雇用、正規雇用以外の割合も示されていました。

この資料は、昔とは異なり共働きの世帯が増えてきたのだから、それに合わせて年金の改革が必要だ、というようなよく聞く話、私の言う「ヒューリスティック年金論」に向けて、それは間違えていますよと言うために作られた力作だと思います。

ところがこの「多様な世帯類型における所得代替率」という資料も、この資料が作られて5年も経つのにみんな知らない。メディアは誰も報道しない。そして、みんなで、年金は不安だ、将来は不安だ、時代に合っていない年金は抜本改革が必要だと相も変わらずの状況が続いてきたわけですね。

私に問い合わせてきた記者の番組も、放映時には最後に「現行の年金制度どう思う?」へのアンケート調査結果として「抜本的に見直す」が54.9%、「廃止すべき」が9.4%もあることを紹介していました。まぁ、仕方がない。それが昔から変わらぬ年金まわりの風景というものです。

そういえば、次のような話もありました。

「ちびまる子ちゃん」の家族で年金を考えてみよう

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