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「日本の発酵食品」西洋との比較で決定的な違い 東洋文化圏でカビを利用する発酵食品が多い事情

東洋経済オンライン / 2024年6月1日 18時0分

(写真:SORA/PIXTA)

日本と同じように、世界各国にもさまざな発酵食品があります。世界の発酵食品について、室町時代から600年続く種麹メーカーの第29代当主であり『ビジネスエリートが知っている 教養としての発酵』の著者である村井裕一郎氏が解説します。

世界各国の発酵文化

日本だけでなく、世界各国にも発酵食品があります。例えば、フランス料理にはワインが欠かせません。ドレッシングにはバルサミコ酢が入っていますし、付け合わせのパン自体が発酵食品です。パンにつけるバターも発酵食品ですね。デザートなどにヨーグルトソースが使われていれば、これも発酵食品です。

【画像でわかる】東洋と西洋の発酵食品の違い

中華はどうでしょうか。味付けには、豆板醤、甜麺醤、XO醤、などさまざまな調味料が使われます。「醤」は、味噌や醤油と共通の祖先を持つ発酵調味料です。また、紹興酒や白酒などのお酒、ザーサイも発酵食品です。エスニック料理に目を向ければ、ニョクマムやナンプラーなど魚を発酵させた調味料も食卓に上ります。

このように、世界各国にもそれぞれの発酵文化があります。マニアックな発酵食品としては、シュールストレミングという発酵食品を聞いたことがある人もいるでしょう。主にスウェーデンで生産されるニシンの塩漬けで、「世界で一番臭い発酵食品」と言われています。

発酵食品の臭さをしめすAu=アラバスター単位という単位で、納豆が452あるのに対して、シュールストレミングは8070もあります。現地、スウェーデンでは屋内での開缶が法律で禁止されているそうです。

その他、アラスカで長年つくられているのは、鳥の内臓に魚を詰め込んで、地中で何年も眠らせてつくるキビアックという発酵食品もあります。現地の人にとって、貴重なビタミン源であり保存食です。

アジアの内陸部では、チンギスハンを産んだ騎馬民族が馬やヤギの乳を利用してチーズをつくっていますし、アフリカ地域では、バナナや植物の種子などを利用して、味噌状のペーストにしたりアルコール飲料にしたりするなど原始的な発酵食品が多数存在しています。

さて、世界の発酵食品を2つの視点で分類してみましょう。

1つは、微生物による分類

2つは、用途・原料による分類

です。

世界の発酵食品の分類①微生物による分類

発酵食品に使われる微生物を、世界地図に重ね合わせると、大きくは2つに分かれます。ここでは分かりやすく、アジアからヨーロッパの範囲に話を限定したいと思います(なお、ここでは、東洋と西洋の境目を、メソポタミア文明とインダス文明の間ぐらいに置きたいと思います)。

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