「日本の発酵食品」西洋との比較で決定的な違い 東洋文化圏でカビを利用する発酵食品が多い事情
東洋経済オンライン / 2024年6月1日 18時0分
大きく分けると、東洋側にはカビを利用する発酵食品が多いです。麹菌を使う味噌や醤油、日本酒、焼酎などだけでなく、中国ではクモノスカビを使ってお酒をつくりますし、インドではテンペ菌というカビを大豆に生やした発酵食品が食べられています。
対して西洋側は、ビールやワイン、パンなど酵母だけを利用する発酵食品や、チーズ、バター、ヨーグルト、ピクルスなど、単一の微生物でつくられている発酵食品が多い傾向にあります。
この微生物の違いは、気候による影響も大きいです。東アジアから南アジアは、温暖湿潤気候や温帯夏雨気候(亜熱帯モンスーン気候)に分類されています。一方、中近東からヨーロッパ地域の多くは、砂漠気候や地中海性気候、西岸海洋性気候に分類される地域が多いです。
東アジアから南アジアでカビを利用した発酵食品が多い理由
この違いは、湿度の差です。シンプルに言えば、ジメジメした東洋と、からっと乾燥した西洋と言えるでしょう。
カビは高温多湿の環境で生育するため、東アジアではカビが生えやすく、相対的に乾燥している中近東からヨーロッパ地域では、あまりカビが生えません。その結果、東アジアから南アジアでは、カビを利用した発酵食品が多いのです。
この、カビの生えやすさは、近年、SDGsなどで注目されている廃プラスチックの動きにも関わります。
乾燥している国や地域においては、紙袋に食べ物を入れても、食べ物が傷むという心配をしなくてもよいです。それに対して、アジア地域は、特に夏場は、高温で非常に湿気が強いので、食べ物を保存するためには、どうやって湿気を防ぐかということに気を配らなければいけません。
また、お弁当として持たせられる食品も、クッキーや、リンゴやオレンジなど皮をむいていない状態の果物、乾燥したパンにハムやチーズを挟んだサンドイッチなど、比較的乾燥して、紙でも問題ないものが多い文化と、肉じゃがなど汁気のある食べ物が多い食文化では、水や湿気をシャットアウトするビニールやプラスチック製品の利便性や必要性は、当然異なるでしょう。
最近は、プラスチック製のストローやお皿の代わりに、紙ストローや紙皿を利用したりすることも多くなりました。ですが、紙はプラスチックと違って、湿気を吸ってしまいます。下手すると、長期間の保存中にカビが生えてしまったりします。押し入れに入れておいた昔の取扱説明書にカビが生えてしまった経験など皆さんもあるのではないでしょうか。
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