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上場会社の社外取締役には「みちょぱ」を指名せよ 株主総会前に正しい企業統治とは何かを考える

東洋経済オンライン / 2024年6月1日 8時30分

6月は株主総会が多く開かれる月。企業統治における社外取締役は、もしかしたら、みちょぱのような人が理想かもしれない(写真:アフロ)

先日、大学院で珍しく普通に講義をしていた(普段は「ソクラテスメソッド」で、禅問答のようなケースディスカッションをしているので)。

会社の「理想の社外取締役」とは?

コーポレートガバナンス(企業統治)における社外取締役の役割について話していたら、突然、頭は良いが、ガバナンスに関する知識のまったくない学生が、手を挙げて発言した。

「じゃあ、みちょぱ(モデル・タレントの池田美優さん)が理想の社外取締役ということですか?」

「みちょぱ?」

私は唖然としてしまったが、彼の言い分はこうである。

先生(私、小幡)の言う「適切な社外取締役の条件」とは以下である。

(1) 特定株主の代理または代表ではなく、潜在的株主を含むすべての株主の利害を代表する。上場企業、すなわち公開企業とは、誰でも株式を買えるわけだから、将来株主になる可能性のあるすべての投資家の利益を代表すること

(2) 社外取締役の役割とは、社内取締役にできないこと、すなわち、事業の専門性や知識ではなく、社内関係者では、社長が明らかに間違っているときに、自己の処遇を恐れてモノがいえない場合、社長の首に鈴をつけることができる人、つまり、社長に忖度しないこと

(3) 社外であっても、社長の友人や、翌年の取締役のポストに再任されることを望むために、社長に嫌われることを忌避する人はだめで、いつでも対決してやめる覚悟がある人

(4)つねに「常識人」として、企業が社会に反するようなことを防止すること、つまり、常識のある人

一方、先生はこうもおっしゃった。

他社で経営の経験があって、この条件に当てはまる人がいればよいが、そういう人は、経営者を続けていることが多く、完全に独立した社外取締役となることは難しい。

また、学者は「第三者的」であり、条件を満たす可能性はあるが、実際は、金銭欲や名誉欲が強く、社長と対立すると、そういう評判が立ってしまい、政府の審議会の委員や他社の取締役候補から外れてしまい、将来の収入が減ることを懸念する可能性のある人が多い。

ということは、忖度なく、いつも素人として的確なコメントが言え、金(カネ)も十分稼いでいるから、ポストに執着しないだろう、みちょぱが最適なのではないですか?ということらしい。

なるほど。

私は、こう答えた。「しかし、みちょぱのような人は、みちょぱぐらいしかいない。だから、結局、適当な社外取締役候補は、現実にはそんなに余っていない。だから、社外取締役によるガバナンスで日本企業が良くなる、ということは現実には起こらない」。

なぜ日本の社外取締役の議論は間違っているのか?

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