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日本政府が防衛費を上げる前にやるべき3つのこと 陸自予算の削減、新戦闘機開発の中止、耐震改修…

東洋経済オンライン / 2024年6月2日 8時0分

2024年5月26日に行われた陸上自衛隊の「富士総合火力演習」で射撃訓練する戦車(写真・共同)

日本政府は防衛費の増額を進めている。軍事力における対中劣勢を改善するため、2023年度からの5年間で従来1.6倍の43兆円、本年度の2024年には例年1.6倍の約8兆円を支出する予定である。

しかし、増額継続は難しい。国民経済が困窮しているから、今は防衛費抑制を図る時期だ。2025年度以降の3年間で残り28兆円、毎年9兆円超の支出は非現実的でしかない。

日本は対中軍事力の改善をあきらめるしかないのだろうか。その必要はない。陸上自衛隊を削減し、新戦闘機の開発を中止し、施設整理をすることにより対中軍事力の改善と防衛費抑制は両立できるからだ。

対中劣勢を改善するためだが…

なぜ、日本は防衛費の増額を進めているのだろうか。

対中劣勢を改善するためである。中国との格差は年々開く一方だ。改善のためには日本は戦力強化を図らなければならない。

すでに戦力比3割の維持も怪しくなりつつある。艦隊戦力はかろうじて4割台を維持している。空母、軽空母、駆逐艦、フリゲート、潜水艦の数は中国154隻に対して日本は68隻だ。

ただ、戦闘機はすでに2割と劣勢にある。中国海空軍の一線級戦闘機数1600機に対して空自戦闘機は330機しかない。

このままでは絶対的劣勢に陥ってしまう。海空戦力総合で3割を切ると対峙は厳しい。日本単独ではどうやっても負けてしまう。

それを避けるには自衛隊を増強しなければならない。護衛艦建造を年1隻から年2隻にする。F-35戦闘機の購入数を年8機から15機に増やす必要がある。

これが防衛費増額を進める理由である。しかし、増額継続は難しくなっている。

国にその余裕はない。日本は30年に及ぶ経済不振の中にある。しかも、この5年は消費増税やコロナ禍、円安の悪影響もある。国民生活も一段と困窮化している。

この状況で計43兆円の支出は厳しい。国民の税負担はすでに限界に近い。そのため防衛増税もままならない。実際に防衛費増額分の財源確保もできかねている。

さらにいえば防衛費をGDP(国民総生産)の2%にまで引き上げることは非現実的ですらある。2%とは、いわゆる「防衛3文書」(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)で目標として掲げた数字だが、衰退した日本経済にとっては重荷になりかねない。

むしろ今は、国民の負担を休ませることを優先する時期だ。社会保障の充実や中低所得層の底上げを図らなければならない。そうしなければ日本は自滅の道からはい出せなくなってしまう。

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