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1年で1割退学「崩壊する都内底辺校」の教育現場 タバコ・喧嘩・妊娠で退学が日常茶飯事だった

東洋経済オンライン / 2024年6月6日 7時50分

私は学校の中でよくないことが起こっても『これが普通なんだ』と錯覚してしまう部分があったのですが、中学の友達にその話をしたら、『普通じゃないよ』と言ってくれたことで、自分の状況に危機感を抱けたのが、とても大きかったと思います」

この環境から脱出するために、勉強を始めた長瀬さん。手始めに学校の授業をしっかり聞いてみました。偏差値40の教育困難校の授業といえども、世間的なイメージとは違い、授業のレベルは極端に低くはなかったそうです。

「受験するという観点では、物足りないですが、アルファベットや掛け算・割り算といった初歩中の初歩のレベルまで遡っているわけではありませんでした。たとえば英語は中学英文法など、中学レベルの復習がメインで、日本史では高校の教科書を扱ってはいたものの、簡単な問題の空欄を埋めるといった、受験レベルというよりも、一般常識レベルのことを学んでいました」

一方で、勉強に集中できるような環境ではなかったようです。長瀬さんに当時のことを深くお聞きしたところ、強く印象に残っていて未だに覚えているエピソードがあるそうです。それは、国語のテストの「未曾有事件」だそうです。

「授業中はみんな寝ているか、スマホをいじるか、先生の授業を妨害するか、というほぼ3パターンでした。そのような状況なので、生徒も勉強を真剣にはしていません。

例えば、国語の授業で『未曾有』という漢字を習い、テストでその読みを問われたのですが、あまりにも正答率が低くて先生も呆れていました。読み方を『みぞうう』と書いた生徒もいましたが、『もうそれが正解でいいよ……』と先生が言って、マルをつけてしまったんです。あの時のことは、未だに鮮明に覚えています」

勉強しているとペットボトルを蹴りつけられる

このように、授業に集中するのが難しい環境の中で、長瀬さんは1人で孤独に勉強をしていたそうです。それが周囲からすると、異様に映ったようでした。

「休み時間に参考書を開いて、勉強しているのは自分だけでした。校内は治安が悪く、他の生徒が、床に落ちていたペットボトルを、私に対して蹴りつけてきたこともあったので、怖い人たちとは関わりを持たないでおこうと、彼らを避けていました。

また集団の中で私の行動が異質だったので、まったく関わりがない人たちに、勉強をすることに対して陰口を叩かれたりしました。『勉強する自分がおかしいんじゃないか』と錯覚しそうになりましたが、中学の環境を経験していたので、勉強を続けることができました」

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