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1年で1割退学「崩壊する都内底辺校」の教育現場 タバコ・喧嘩・妊娠で退学が日常茶飯事だった

東洋経済オンライン / 2024年6月6日 7時50分

頑張って受験勉強に取り組んでいた長瀬さんでしたが、在学当時の学校自体も、決して勉強に協力的な環境ではなかったそうです。

「うちの学校は、生徒を怒ったり、勉強について厳しく指導するという空気ではありませんでした。生徒たちが『俺ら勉強なんかできない感じだし』といって諦めていたので、先生方の間でも、『生徒を救おう』といった空気ではありませんでした。

勉強や受験指導に関してはもう、諦めの雰囲気が漂っていたんです。1人ひとりの勉強に真摯に対応してくれるというよりは、できない生徒を1人でもなくすという方針だったようで、私の受験勉強の質問などになかなか対応してくださる時間がありませんでした」

「勉強することがマイナス」という長瀬さんの高校に広がっていた価値観は、彼らの過酷な環境や、成功体験の少なさとも関係があるようでした。

「高校の同級生は、両親のどちらかがいない家庭が多かったようです。また、勉強だけではなく、何かを頑張って成果をあげたことがある人が少ないと感じました。『努力することがダサい』と思っていて、人の努力に対して無関心どころか、否定的だったのは、そうした要因もあり、自己肯定感が低いことも大きいのかなと思います」

生徒も学校自体も、勉強を教えること、教わることについては諦めムードが漂っていたそうですが、進路に関しては、多くの生徒が推薦で入れる大学か、専門学校に進学していました。

「就職する人は1割前後で、一般受験をする人は指で数えられる程度でした。学校に来ている指定校推薦で、いちばん偏差値の高い学校が東洋大学だったのですが、評定平均5段階のうち、3年間で4.9を確保しないと推薦してもらえませんでした。その水準を確保することはほぼ不可能で、毎年誰も推薦を取れません。1年生のころの私も、評定平均3.5で、条件には全然足りませんでした」

まさかの先生たちからのサポート

しかし、そんな長瀬さんは1年の浪人を経て、慶応義塾大学に合格します。

ずっと現役で偏差値40台だった彼は、浪人で受けた最後の模試もE判定だった慶応義塾大学の文学部に見事合格しました。その合格の秘訣は奇しくも、かつて長瀬さんが高校に通っていたときには、受験指導をなかなか受けることができなかった先生方からの献身的なサポートでした。

「高校を卒業するタイミングで挨拶に行った際、高校時代にちゃんとした受験指導ができず、不憫に思った国語・英語・日本史の先生が『(受験勉強を)助けてあげられなくてごめん』って言って下さったんです。その際、先生方は「何かあれば相談してね」と連絡先を下さいました。

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