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共学校にも実社会にも潜む「男子校の亡霊」とは 男子校を潰しても男女平等にはならないワケ

東洋経済オンライン / 2024年6月7日 11時30分

すべての学校および社会全体に潜む「旧来の男子校の亡霊」とは?(写真:Fast&Slow / PIXTA)

2024年5月、東大の学内にセンセーショナルなポスターが掲示された。向かい風を受ける女性の写真に、「女子なのに東大?」「女子なんだから浪人しないで」など、性差別にもとづく言葉が落書きのように書かれている。東大の学生や研究者が実際に浴びせられた言葉の数々だという。

【画像】#WeChange「#言葉の逆風」のポスター。東京大学内では、上の段の「問い」のポスターをめくると、下の段のポスターが出てくる形式で掲出されている

東大で幅をきかせる男子校出身者

東大は、2026年度までに、大学院生を含む女子学生の割合を30%以上、女性教員を25%以上にする目標を掲げているが、東大入学者の女性比率はなかなか2割を超えられない。この20年ほど足踏みが続いている。

逆にいえば東大は、約8割が男性で構成されている。東大合格者数ランキング上位には、私立・国立の男子中高一貫校がずらりと並ぶ。その出身者たちが東大の中で幅をきかせ、性差別的、セクハラ的な発言をしているという証言が学生からも教員からも報告されている。

「諸悪の根源だと思うので。やっぱり男子校はないほうがいいかなって気はします。よっぽどそこでジェンダー教育をちゃんとやらない限り」。私が識者から聞いたコメントだ。

「諸悪の根源」であるならば、男子校をなくせば、あるいは男子校でジェンダー教育がしっかりと行われれば、諸悪が消えるということだ。

そこで私は全国すべての男子校に独自のアンケートを採り、どんな性教育やジェンダー教育が行われているのかを尋ねた。すべての男子校といっても、全国の高校に占める割合は約2%で、いまや100校にも満たない。

私立男子校の約半数から返信があったが、国公立の男子校からは返信がなかった。返信があった学校のうち約1/4は、「センシティブなテーマなので具体的な回答は控える」との主旨だった。世間では積極的な性教育には反対の声も強く、注目を浴びたくないという政治的な理由が含まれていると考えられる。

有効な回答は33校。そのなかでも特にユニークな取り組みについては現場を訪ね、拙著『男子校の性教育2.0』にまとめた。

具体的取り組みを知れば、男子校もなかなかやるじゃないかと思うはず。一方で、すでに全国の9割以上の高校が共学なのになぜこの国はこんなにも男女不平等なのだろう? 男子校をなくせばましになるのか? ……という疑問が強まる。

東大合格者に男子校が多い歴史的カラクリ

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