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「トランプ有罪」判決は大統領選に何をもたらすか 「口止め料裁判」ですべての陪審員が有罪の評決

東洋経済オンライン / 2024年6月8日 8時30分

「口止め料裁判」で「有罪」となったトランプ前大統領。この裁判の影響をどう考えればいいのだろうか(写真:ブルームバーグ)

「アメリカの裁判は早い」とは聞いていたけれども、なるほど本当に早かった。

「口止め料裁判」は7月11日に量刑決定、その他は?

ドナルド・トランプ前大統領をめぐる4つの刑事裁判のうち、第1陣となったニューヨーク地裁における「口止め料裁判」は、4月15日に初公判が行われ、5月28日には最終弁論に到達した。この間、わずか6週間である。

さらに5月29日からは、12人の陪審員による審理が始まった。12人全員の意見が集約できず、合意ができない場合は”Mistral”(審理無効)となる可能性もゼロではなかった。

ところが蓋を開けてみたら、12人の陪審員の意見はあっさり一致し、評議2日目の5月30日夕刻には、34の罪状すべてについて「有罪」の結論が出た。アメリカ大統領経験者に対する刑事罰の有罪は、もちろん史上初めてのこと。トランプさんへの量刑は、7月11日に裁判長によって申し渡される。ただちに控訴するだろうから、さすがに収監されることはない見込みである。

あらためて、トランプさんが抱えている4つの刑事訴追を整理しておこう。「口止め料」事件以外の3件は、トランプ陣営による遅延工作が奏を功し、秋の大統領選挙前の公判開始はかなり難しくなっているのが現状である。

① 口止め料事件(ニューヨーク地裁):ストーミー・ダニエルズさんへの口止め料13万ドルを、弁護士費用として選挙資金から流用した記録不正

② 機密文書事件(フロリダ州マイアミ連邦地裁):大統領退任時にホワイトハウスから持ち出した機密文書を自宅に私蔵していた疑惑

③ 1月6日事件(ワシントンDC連邦地裁):連邦議事堂への支持者の乱入を教唆・扇動し、大統領選定の公的手続きを妨害しようとした疑惑

④ ジョージア州事件(ジョージア州フルトン郡地裁):2020年選挙におけるジョージア州の結果を覆すように同州の州務長官に圧力をかけた疑惑

ちなみに上記のうち②と③は連邦法、①と④は州法によるものである。仮にこの秋、トランプさんが当選して第47代大統領に就任した場合、「大統領は恩赦の権限を持つ」という憲法上の規定に基づき、「自分自身を無罪にできるか?」という問題が生じることになる。ただしその場合でも、州法に基づく①と④の訴訟には恩赦は適用できないことになる。

「1月6日事件」は最高裁の審理で遅延

あらためて4件の訴訟内容を振り返ると、①「口止め料事件」はあまり筋のいい裁判とは言いがたい。ポルノ女優であるストーミー・ダニエルズさんとの不倫行為(2006年のこと!)や、彼女に口止め料を支払ったことは、確かに世間のひんしゅくを買う行為である。とはいえ、いずれも刑事罰を伴う性質のことではない。

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