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美術未経験から3浪「東京藝大」彼女の圧倒的努力 付属校からの内部進学ではなく外部受験目指す

東洋経済オンライン / 2024年6月9日 7時0分

こうして内部進学を選ばず、外部の大学受験の道を選んだえずみさん。人と違う道を進むことに、葛藤や恐れはなかったのでしょうか。

「私は小さいころからやればできたタイプなので、あまり恐怖心はなかったんです。今までの人生で成功体験を積んできていたから、新しい挑戦も『いけるんじゃない?』と考えられました。このときは自分が浪人するとは、一切思っていませんでした(笑)」

両親も美術の道に進むことを応援してくれたと語るえずみさんは、持ち前のプラス思考で、新しい世界に挑戦することを決めます。

こうして、コロナ禍が少し落ち着いた6月以降から、学校に通いながら、予備校にも毎日通う生活が始まりました。

予備校で「ゼロどころかマイナスからのスタートだった」えずみさんは、鉛筆の削り方から教えてもらったそうです。平日は3時間、土曜日は7時間の授業があり、ずっと絵を描き続けていましたが、作品の評価は低いままでした。

「私の周囲は、長い間絵を描いてきた人ばかりで、自分は『浮いている』と感じました。

通った予備校の授業では、作品を書いた後に先生による講評があり、『上』・『中』・『下』の棚に、それぞれ作品が置かれていきます。『上』はまぁどこでも受かる、『中』はどこかにはもしかしたら受かる、『下』はほぼ受からないという感じです。

私の作品はずっと下段の棚でしたね。夏休み終わりにコンクールと呼ばれる予備校内の模試もあって、そこで受講生全体の順位が初めてはっきり出たのですが、私は予備校にいた10人の中で最下位の成績を取ってしまいました」

厳しい現実に直面したえずみさんでしたが、このコンクール後の先生との話し合いで、さらに上の志望校を目指すことにします。

それが、全国から天才が集まる東京藝術大学の工芸科でした。

「(変更の理由は)『武蔵美や多摩美を目指すのであれば、勉強でもいい点を取らないといけないよ』と先生に教えてもらったのがきっかけです。

絵でいっぱいいっぱいなのに勉強もしなきゃいけないのは、ちょっと厳しいなと感じていました。

ただ、そのときに先生に『藝大の工芸科なら、勉強はほぼ見ない』と言われて、素直だった自分は『絵がうまくなりさえすればいいんだ!』と鵜呑みにしてしまい、藝大を目指す決意をしました。改めて、何も受験のことを知らなかったなと思います」

藝大の中でも、特に実技重視である工芸科を志望することに決めたえずみさん。しかし、この年は最後までなかなか絵が上達せずに、1次試験で落ちてしまったそうです。

藝大一本でいく決意は揺るがなかった

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