美術未経験から3浪「東京藝大」彼女の圧倒的努力 付属校からの内部進学ではなく外部受験目指す
東洋経済オンライン / 2024年6月9日 7時0分
東京藝大の工芸科(2024年度)の入試は、以下の通りです。
1次試験:デッサン(石膏像・静物)
2次試験:平面構成(テーマやモチーフを与えられ、色を使って紙に表現する)
立体構成(水粘土を用いて立体造形物を制作する)
学科(大学入学共通テスト):3教科 国語・外国語・選択科目(地理歴史・公民、理科、数学から1教科)。
現役では落ちてしまい、浪人を決断したえずみさん。その理由は、「藝大一本と決めていたから」でした。
「落ちてしまって行ける大学がないから、浪人するしかない、という感じでしたが、この決断自体にネガティブな感情は一切ありませんでした。自分の周囲も、藝大一本で受けている人が多かったので、浪人する人が結構いたことが、決断した理由としては大きいですね」
こうして、現役のときと同じく千葉美術予備校で1浪を決めたえずみさんは、「オールした日もある」ほど絵を描くことにのめり込んだそうです。
「予備校の先生と、24時間連絡が取れる環境というのがすごくありがたかったですね。夜中に絵を描いたら、写真を撮ってLINEで先生に送り、すぐに講評をいただけたのが、絵の上達につながりました」
1浪目の生活で、彼女は現役のときよりも格段に実力を上げたそうです。苦手だった1次試験のデッサンは「中」と「上」が半々で、2次試験の立体構成も半々。平面構成に至っては、ほぼ「上」評価だったそうです。
「もしかしたらいけるかも……と、若干希望が見えた年でした」と語るえずみさんは、この年も東京藝大一本で受験。努力の甲斐あって、「自信はなかった」ものの、無事1次は通過します。
初めて2次試験に臨んだえずみさんですが、もっとも得意としていた平面構成で例年と違う変わった課題に当たってしまったようです。
「平面構成は、一般的に何かモノを渡されて、それを魅力的に描くのですが、この年の試験では渡されるモノが一切なく、完全に想像・記憶で描かなければならなかったんです。普段対策していたものとは全然違う課題に、タイムスケジュールもままならず、正解が全然わからないまま試験が終わりました。結局この年もダメでした」
こうして2浪目に突入したえずみさん。この年は予備校を変え、池袋のすいどーばた美術学院に通うことを決めます。予備校の学生が多く、先生が1人の学生に指導できる時間が限られる中で、えずみさんは「自分から動いて先生に聞きに行くようになった」と語ります。
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