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岡山のバス会社、「日本最安」運賃100円でなぜ黒字 「安かろう悪かろう」ではない快適性高める工夫

東洋経済オンライン / 2024年6月11日 6時30分

岡山駅東口バスターミナルに停車中の宇野バス(筆者撮影)

岡山県内で路線バスを運行する宇野自動車(以下、宇野バス)は、100円という日本最安の運賃を維持しながら、黒字経営を続ける稀有なバス事業者だ。多くのバス会社が、自治体の補助金なくして経営が成り立たない状況にあるなかで、宇野バスは補助金を受け取らず健全な経営を続けている。

【写真】岡山県内で路線バスを運行する宇野自動車(宇野バス)とは?

宇野バスはなぜ、自治体の補助金を受け取らず日本最安の運賃で黒字経営を維持できるのか。そんな独特の経営理念を貫く宇野バスの宇野泰正社長に話を聞いた。

自前のバスターミナルを持つ

岡山市中心部に位置する宇野バス本社に併設された表町バスセンターには、茶色のボディに5連のマーカーランプが備え付けられた特徴的なバスが次々に発着する。岡山市中心部を経由する大半のバス会社は天満屋バスセンターに乗り入れているが、宇野バスは天満屋バスセンターに乗り入れず、本社併設の表町バスセンターに発着していることも同社の独自性を象徴する。

そんな宇野バスについて、宇野社長は「宇野バスは、創業時からの宇野商店みたいな性格を強く持っている大家族的な雰囲気の社風」、「バスが好きな私たちは、バスでお役に立たせていただくことを使命として、安全で便利で経済的で心地よい移動手段を提供していきたい」と経営理念を語る。

さらに特徴的な点は、宇野バスは、岡山市内中心部の運賃を今なお100円に据え置いていることだ。2022年10月から岡山市内のほかのバス会社や路面電車の中心部の運賃が100円から120円に値上げされた。

これには岡山市からの「運賃の適正化を図りたい」という呼びかけがあり、コロナ禍の利用者激減による減収の影響を受けていた事業者側との利害が一致したことも関係している。しかし、宇野バスだけは運賃の値上げを行わなかった。今後も値上げの予定はないという。

自治体からの補助金は受けない

宇野バスの岡山市中心部の運賃が100円になったのは1998年のことだった。それまでの運賃は120円であったが、当時の運輸省(現・国土交通省)に対して日本で初めて運賃値下げの申請を行い、市内中心部の運賃を100円に引き下げた。これは運賃の値下げによって、岡山市中心部だけではなく周辺部からの乗客の囲い込みを狙ったもので、その狙いは見事的中。宇野バスの乗客も売り上げも増えた。

宇野社長は、こうした日本最安値の運賃を維持し続けられる理由について「安い運賃にすることでより多くのお客様にご満足いただいてバスに乗っていただけること」、「さらに繰り返し宇野バスをご利用いただくための努力や、コストを下げるための努力を本当に一生懸命にやっているからだ」と力説する。

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