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2025年、全都道府県で「最低賃金1000円」達成せよ 中小企業の「支払い能力」は過去最高を記録中

東洋経済オンライン / 2024年6月13日 9時0分

来年、すべての都道府県での「最低賃金1000円超」を目指し、段階的な引き上げが求められるといいます(撮影:尾形文繁)

オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。

退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼の著書『給料の上げ方――日本人みんなで豊かになる』では、日本人の給料を上げるための方法が詳しく解説されている。

「いまの日本の給料は、日本人のまじめさや能力にふさわしい水準ではありません。そんな低水準の給料でもガマンして働いている、その『ガマン』によって、いまの日本経済のシステムは成り立っています。でも、そんなのは絶対におかしい」

そう語るアトキンソン氏に、これからの日本に必要なことを解説してもらう。

2024年の最低賃金を6%上げて、下限を950円にせよ

岸田政権は物価上昇を上回る賃上げを促進していますが、実質賃金はなかなかプラスに転じません。

【グラフ】1979年度からの最低賃金引き上げの状況

2024年度は、大企業は5.58%(経団連)の引き上げ、中小企業は3.62%の引き上げ(商工会議所)を実施しています。もっとも大事な初任給は、大卒の引き上げが4.01%、高卒は4.71%の引き上げ(産労総合研究所)となっています。

政府が民間のさらなる賃上げに直接的に影響を与えられる次なる手段は、最低賃金です。したがって、今年8月の最低賃金の引き上げ幅は非常に重要です。

私は、2024年には最低賃金を6%上げ、さらに地方の最低賃金に下限を設け、それを950円にするべきだと考えています。

企業側は「そんな余裕がない」と言いますが、大企業、中堅企業、小規模事業者のいずれもが、1998年以降、特に第2次安倍政権以降、史上最高水準の利益を毎年更新しています。

企業には十分な支払い能力があります。

本来、政府は最低賃金の引き上げを決定する際、徹底的な企業分析を統計学者と経済学者に依頼し、商工会議所などにヒアリングを行い、エビデンスに基づいて決定するべきです。しかし、日本にはまだその制度がありません。労働者と経営者が力比べをしている、極めて低次元な制度となっています。

国際的に、日本の最低賃金はきわめて低い

第2次安倍政権以降、最低賃金は平均して2.7%引き上げられています。コロナ禍の2020年は1円だけの上昇でしたが、それを除けば、平均の引き上げ率は2.96%です。この間の平均インフレ率は1.11%なので、最低賃金の実質引き上げ率は1.85%となります。

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