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年収500万の公務員が「貧困取材」を受ける事情 生きづらさは「日本特有の人間関係」にある?

東洋経済オンライン / 2024年6月13日 11時0分

シンイチさんによると、友人や同僚に恵まれた韓国では障害特性が原因のトラブルはなかった。また、仲のよい友達がいた小学校中学年のころだけは、教師からも「落ち着きが出てきた」と評されたという。そのうえで韓国での生活をこう振り返る。

「韓国人は不満もはっきり口にします。学生たちは私の授業に意見があるときは『わかりづらい』『おもしろくない』と直接言ってきたものです。(自分の行動に)問題があれば面と向かって批判もされましたが、後になって根に持たれることはありませんでした」

シンイチさんは多くを語らなかったが、少なくとも彼にとっては日本社会独特の人間関係の乏しさ、不寛容さが自身の生きづらさと関係していると、言いたいようだった。

私自身はプライベートで、韓国の友人と政治や社会の問題について話をすることがある。韓国にも陰口やいじめはあるので一概には言えない。ただ本音と建て前を使い分けがちな日本人のコミュニティーよりも、正面切っての意見の対立をいとわない傾向のある韓国人との関係のほうが居心地がよいと感じることは、正直ある。

「発達障害者が生きづらいかどうかは、結局人間関係次第だと思うんです」とシンイチさんは繰り返す。それゆえに「これからも“普通の人”を装って独りで生きていくしかないんです」とも。シンイチさんに悲壮な覚悟を強いるのは何か。その正体を思うと、私も息苦しさを覚えた。

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

藤田 和恵:ジャーナリスト

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