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「40年遺骨収集続ける男」から考える"弔いの意味" 『骨を掘る男』の奥間勝也監督にインタビュー

東洋経済オンライン / 2024年6月14日 12時40分

『骨を掘る男』(C) Okuma Katsuya, Moolin Production, Dynamo Production

沖縄県糸満市、沖縄県営平和祈念公園内にある「平和の礎(いしじ)」には、24万人を超える戦没者の名前が刻まれている。激戦地だった南部など沖縄本島には、いまなお3000柱近い遺骨が眠ったままだ。埋もれた遺骨を40年間、収集する活動を続けてきた男性がいる。具志堅隆松さん(70歳)。ボーイスカウトの活動で、遺骨収集に携わったのがきっかけだった。

【写真】『骨を掘る男』埋もれた遺骨を40年間、収集する活動を続けてきた具志堅さん。

手作業で、これまでに400柱を探し出してきた。沖縄の人たちは具志堅さんを、「ガマフヤー(壕を掘る人)」と呼ぶ。そんな具志堅さんの活動を追ったドキュメンタリー映画『骨を掘る男』が6月15日から劇場公開になる。

本作の監督は、沖縄県出身の奥間勝也さん(39歳)。5年間にわたり具志堅さんを密着撮影した意図を聞いた(※一部映画のネタバレを含みます)。

基地跡地で多くの遺骨が見つかる

――奥間さんは、具志堅さんとどう知り合ったのでしょうか。

那覇市内にある「那覇新都心地区」は、戦後米軍基地として使用され、1987年に全面返還されました。その那覇新都心付近では、2009年夏から翌年春にかけて、戦時中の遺骨が相次いで見つかりました。その遺骨収集に携わっていたのが、具志堅さんだったのです。

私はこの新聞を読んで、具志堅さんと彼の活動を知りました。その当時、私自身はまだ学生です。

今回映画を撮ろうと思ったのは、2018年頃。「映画にしたいんです」と具志堅さんを訪ねたところ、「いいですよ」との返事をもらいました。ところが、2カ月、3カ月ほど経ってふたたび具志堅さんに会いに行ったら、すっかり私のことは忘れられていました(笑)。基本的に、興味のないことは、覚えきれない人なんですよね。

――自分自身が撮られるということにも、興味がないのでしょうか。

そうですね。この映画でも「こういうシーンを使おうと思います」とパソコンを持って、車の助手席に乗り込んだのですが、具志堅さんからは「ああ、時間がないから」と見ようとしない。けれども遺骨収集に対して関心を持ってもらう、ということに関しては積極的なんですよね。

沖縄の視点からの映画を作りたい

――映画は、ガマ(自然壕)に潜り込み、暗闇の中、ヘッドライトを頼りにして、土砂をかき分け、骨を探す具志堅さんの手元から始まります。そこから場面が転換し、沖縄戦の記録映像が映し出される。日本兵や住民が逃げ込んだであろうガマに米兵が火炎放射器や、手りゅう弾を投げ込み、爆発が起きる。その後再び映像が切り替わり、沖縄戦の映像が映し出されたスクリーンを客席で見ている人(奥間監督)の背中が映る。戦時中と客席の2つの映像は、「対」のように思えました。

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