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「社内のコネ」「社歴」は、あまりに軽視されすぎだ 「社内調整のプロ」というキャリア選択もある

東洋経済オンライン / 2024年6月14日 9時30分

そして、採用活動の主戦場はいまだに新卒採用です。『日本経済新聞』の調べでは、2023年度の採用計画に占める中途の割合は37.6%でした(参考記事)。中途の割合が急速に伸びているとはいえ、実に採用の6割超はまだ新卒採用で賄っているのが実態なのです。

求職者はスペシャリストのニーズが高いと考える一方で、雇う側がより求めているのは、実はその会社に精通したジェネラリストだとも言えます。

会社は「社歴の長い社員」を歓迎している

メンバーシップ型雇用は終身雇用や長期雇用を前提としている、と説明されることも多いですが、実際には、長く勤めてもらうことは、メンバーシップ型雇用の「前提」ではなく「目的」なのではないでしょうか。

つまり、企業は従業員になるべく長く勤めてもらうために、まさにそれを目的として、仕事のスキルではなく価値観やキャラクター、カルチャーフィットを重視して人を採用するのです。

なぜかというと、企業にとって、社員に長く勤めてもらうことには価値があるからです。

まず何より、人を採用するにはコストがかかります。毎年10人ずつ社員を増やしていかないと仕事が回らない、という状況だとしたら、抜けた人員は必ず補充しなくてはいけないので、退職者は出れば出るほど余分なコストがかさみます。高度経済成長期の日本はまさにこのような状況だったわけです。その意味でも、メンバーシップ型雇用は理にかなったものでした。

しかし、バブルが崩壊して長い不況に突入すると、その状況には大きな変化が訪れます。リストラという言葉が流行語のようにメディアを賑わすようになり、人員削減の必要に迫られる企業が増えてくるのです。

そうなると、退職者が出ることはむしろコスト減となるわけで、長く勤めてもらうことを目的とした「メンバーシップ型雇用」は、その点ではもはや必要ないようにも思われます。

それにもかかわらず、日本企業の多くは、その後今日に至るまでメンバーシップ型雇用を中心とした採用活動を継続しています。それはいったい、なぜなのでしょうか。

「コネ」や「お作法」を熟知する社員は会社の財産

社員に長く勤めてもらうことの価値は、採用コストが抑えられることだけでは決してありません。

その会社に長く勤めれば勤めるほど、そして複数のポジションをローテーションすればするほど、その人には社内の人的ネットワークが蓄積されていきます。仕事を進めるうえでの、その会社特有のルールも骨身に染み込んでいくでしょう。

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