「社内のコネ」「社歴」は、あまりに軽視されすぎだ 「社内調整のプロ」というキャリア選択もある
東洋経済オンライン / 2024年6月14日 9時30分
こうした社内の「コネ」や「お作法」は、転職を前提にキャリアを考える人たちには毛嫌いされがちです。転職市場でモノをいう、ポータブルな(他の会社に持ち運べる)スキルではないからです。
しかし、だからといって、そうした「社内のコネ」や「お作法」に関する知識が無価値だと考えるのは早計です。むしろ、それらを身につけた社員は会社の財産と言っても過言ではありません。それを身につけている人とそうでない人とでは、その会社で仕事を進めるスピード、つまり価値を生み出すスピードに雲泥の差が出てくるからです。
筆者は数々の外資系企業を渡り歩いてきたいわゆる「ジョブホッパー」なので、そうした社内の調整力は職業人生を通じた泣きどころでした。
そんな筆者が確信を持って言えるのは、どんな会社でも、こうした「社内のコネ」や「お作法」を使いこなせない限り、大きな仕事は絶対に成し遂げられないということです。
転職でスキルを磨いたスペシャリストも、そうした社内の知見を持つ上司や同僚、部下の力を借りることではじめて、その専門スキルを組織の中で活かすことができるのです。
「コネ」や「お作法」などというと、眉を顰める人たちもいるでしょう。昭和の悪いイメージがそこに凝縮されていると感じるのかもしれません。
しかし、ビジネスにおいて社内のコネやお作法がモノを言うのは、古今東西を問いません。
例えば、Amazon社では、会議の際にパワーポイントを使わないことが知られています。会議の主催者はワードに文章を書き連ねた資料を用意し、それを最初に全員で黙読してから会議を始めるそうです。これは同社に特有の「お作法」以外の何者でもないでしょう。
また、世界中にオフィスがあるグローバル企業では、社内の人的ネットワークが異常に複雑です。隣に座っている人はイギリス本社の誰々が上司、さらにその隣はシンガポール支社長の部下、などといった状況はザラにあります。
社内の誰が何をやっていて、何を知っていて、誰にレポートし、何に決定権と影響力を持っているか。その全容を把握することは至難の業です。
極端な話、日本の支社長にとってさえ、日本の支社内に何をやっているのかよくわからない部署がたくさん存在することになるのです。そんな状況において、社内のコネが広い人は、人的ネットワークが比較的シンプルな日本企業以上に重宝されます。
グローバル企業であっても、むしろグローバル企業であればこそなお、「その会社のプロ」は生産性をキープするために必要不可欠なのです。
「社内調整のプロ」はキャリアの有力な選択肢
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