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ネズミ増加に悩む繁華街で「協働」生んだ舞台裏 東京都千代田区 行政と住民・企業が連携

東洋経済オンライン / 2024年6月15日 10時0分

東京・千代田区の一斉清掃で収集されたごみ。ネズミ被害を減らすには、えさとなるごみを減らすことが有益だ(写真:筆者撮影)

以前、本連載で「ごみの無法地帯」だった東京・新宿二丁目で、住民たちが行政や民間事業者と協力して街の美化活動に取り組み、状況が改善された事例を記事で取り上げた。

【画像】千代田区ではドブネズミに関する相談が増加。街の中で巣穴が発見されるたび対策がとられ、住民らが清掃活動を続けている。

この事例は地方自治体が掲げる「協働によるまちづくり」の模範となるモデルだ。このモデルを地域の事情に応じてアレンジすれば、他地域でも展開が見込まれる。

そして実際、この「新宿二丁目モデル」を参考に、ネズミ対策のため町内の清掃活動を徹底し、「だれもが気持ちよく訪れる清潔な街にしよう」と立ち上がったのが、東京都千代田区鍛冶町二丁目町会の平野恵一町会長(73)だ。

千代田区のネズミ対策や鍛冶町二丁目の清掃は、昨今テレビや新聞で取り上げられ話題となっている。本稿ではどのような過程を経て現在の協働の取り組みに至ったのか、また、美化活動モデルが機能するために必要となる要素について述べてみたい。

深刻なネズミ被害、対策にあたるのは保健所

ネズミは深刻な被害を私たちの生活に及ぼす。

まずは衛生面での被害。菌やウイルスを有しているため、病気や病原菌を媒介し感染症を引き起こす可能性がある。体表にダニなどの有害な寄生虫を持っているので、室内にそれらが持ち込まれるリスクもある。

さらに、ネズミは都市機能を麻痺させる。地上や地下に張り巡らされた電線やケーブル類をかじるため、最悪、火災や停電の原因となる。

【画像】ドブネズミの相談が増加している千代田区の繁華街で、行政や住民が連携してネズミ対策を実施している様子(5枚)

しかもネズミの繁殖力は非常に強い。「鼠算(ねずみざん)」という言葉もあるように、放っておくと等比級数的に増加する。よって、発見したら早期に駆除したほうがいい。

行政機関のうち、ネズミ対策を担っているのが保健所だ。東京23各区にも設置され、区民から寄せられる相談や苦情に対応している。

千代田区でドブネズミの相談が増加

東京都千代田区では、2012年頃から秋葉原駅東側でネズミの相談が増えてきた。家の中に生息する警戒心の強いクマネズミの相談はそれまでもあったが、大型で、どう猛で、下水溝で見かけることが多いドブネズミの相談が多く寄せられるようになったのだ。

調査したところ、区内の国道の植栽に複数のドブネズミの巣穴があり、そのそばには、ごみの集積所があった。

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