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飼いネコの「胸のしこり」放置で起きていた"悲劇" 9割は予防可能、知っておきたい「ネコの乳がん」

東洋経済オンライン / 2024年6月16日 8時50分

ネコの死因は腎臓の病気と並んで、がんが主要となっています(写真:Graphs/PIXTA)

飼っている動物が病気になったら、動物病院に連れて行きますよね。動物病院には外科、内科、眼科など、さまざまな専門領域の獣医師がいますが、獣医病理医という獣医師がいることを知っていますか?

獣医病理医は直接患者さんと接する機会はあまりありませんが、手術で摘出された患部を顕微鏡で観察して病気の診断をしたり、亡くなった動物を病理解剖して死因を明らかにしたりしている、獣医療や獣医学になくてはならない存在です(ただし動物病院に獣医病理医がいることはまれです)。

この記事では、獣医病理医の中村進一氏がこれまでさまざまな動物の病気や死と向き合ってきた中で、印象的だったエピソードをご紹介します。

高齢化が進む日本社会では身近な病気であるがん。日常の中でふと「自分や家族ががんになったらどうしよう」と考えてしまうこともありますよね。

【写真で見る】ネコの乳頭の位置。乳がんを見つけるには、マッサージするように優しくモミモミしながら、上から下に移動させていく

病理検査の依頼が多いネコの乳がん

人間と同じように、ネコもしばしばがんになります。ぼくは人の医者ならぬ獣医病理医ですので、今回は、愛猫家にとって家族の一員であるネコのがん――とくに病理検査の依頼が多い「ネコの乳がん」のお話をします。

がんは、正常なコントロールが利かなくなって異常増殖するように変化したがん細胞が、周囲の組織や遠くの臓器に浸潤と転移をしていく悪性の腫瘍のことをいいます。

遠くの臓器に転移をする前の段階であれば、手術や投薬治療などによって高確率でがんを取り除けます。しかし、がんがある程度以上に進行してしまうと、現在のどんなに先進的な治療でも根治は困難ですから、恐ろしい病気です。

テニスボール大の「しこり」も

乳腺という、母乳をつくる組織にできる悪性のしこり(腫瘍)が乳がんです。ネコは左右4対、合計で8つの乳頭(乳首のこと)を持ちますから、左右1対しか乳頭を持たない人間よりも広範囲に乳がんが発生します。

乳がんはメスネコに多い悪性腫瘍ですが、人間の男性と同様にオスのネコに発生することも稀にあります。

ぼくのところには、動物病院で切除されたしこりがたくさん送られてきます。かろうじて肉眼で識別できる1ミリも満たない小さなものから、テニスボール大のものまで、さまざまな大きさのしこりの病理診断を行います。

それらに特定の処理を施して薄く切り、見やすくするために色をつけたものを顕微鏡で観察します。

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