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「戦力の集中」運用に背いたゆえのミッドウェー敗戦 空母4隻と2隻に分けたことがそもそもの敗因

東洋経済オンライン / 2024年6月16日 9時0分

これは実戦例との比較で明瞭となる。南雲艦隊に空母以下の戦力を集中したうえでミッドウェーを攻略すればどうなるのか。北方部隊も編入して空母6隻、艦載機338機、水上偵察機28機、戦艦、巡洋艦、駆逐艦35隻を投入する。そのうえで、ミッドウェー海戦と全く同じ事象が発生すればどうなるか。
 
第1に米空母の先制撃破が可能となる。集中運用による戦力増強で索敵とミッドウェー島攻撃は成功するからである。その場合、アメリカの空母はおそらく3隻とも沈む。

はじめに、索敵成功により現地時刻で午前6時頃には米空母を発見する。実戦例では南雲艦隊は7機しか索敵機を出さなかった。そのために米空母を見落とした。それが集中運用で改善する。

索敵で使用した水上偵察機は17機から28機に、偵察兼任の艦上攻撃機も93機から113機に増える。捜索線は実戦例の7機7線から最大14機14線程度まで、そこまでいかずとも10機10線までは増えるだろう。

敗因の1つである索敵失敗はなくなるのである。「筑摩」1号機の雲上通過と「利根」4号機の30分の発艦遅延と位置誤認は問題とはならない。別の偵察機が米空母を発見するからである。

また、ミッドウェー島への航空攻撃も成功する。有名な友永隊は実戦例では108機であった。これは南雲艦隊263機中の41%に相当する。

それが集中運用で合計338機となった場合、同じ41%を出せば139機となる。飛行場攻撃は充実し、滑走路破壊は実戦例の不充分から破壊確実となる。

結果、同じく敗因とされる第2次攻撃隊と兵装転換の誤判断も消滅する。当初、日本艦隊はアメリカ艦隊出現に備えており、空母で待機中の艦載機には軍艦攻撃用の魚雷を搭載していた。

その状態の中で友永隊から「ミッドウェー攻撃は不充分に終わった。第2次攻撃が必要である」との報告があり、艦隊指揮官は7時15分に魚雷から陸上攻撃用の爆弾につけかえる命令を出した。

しかし、その30分後の7時45分に「利根」4号機から「アメリカ艦隊発見」の報告を受けて魚雷に戻す命令を出した。その混乱はなくなるのである。

なによりも米空母への先制攻撃が可能となる。索敵が予定通りに進み、そこで米空母を発見したとしよう。それであれば日本艦隊は即座に攻撃部隊を発艦させる。

また、索敵に失敗しても滑走路破壊が成功すれば兵装転換の混乱は生じない。滑走路破壊前に発進したミッドウェー島航空部隊の空襲が7時頃から始まるものの熾烈ではない。

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