「戦力の集中」運用に背いたゆえのミッドウェー敗戦 空母4隻と2隻に分けたことがそもそもの敗因
東洋経済オンライン / 2024年6月16日 9時0分
最後に鎮火や曳航の実現性も高まる。実戦例よりも水上艦の数が増えれば、空母への防火隊派遣の余地も出てくる。それで火災が鎮火すれば空母は本土まで曳航できる。味方魚雷処分による全損回避もありえる。
反撃にも成功する
第3に反撃も成功する。仮に、米空母による先制攻撃を受けても日本側は反撃で3隻撃沈破に追い込める。
集中運用により最初の急降下爆撃を切り抜ける空母は増える。これは第2として述べたとおりである。実戦例では4隻中3隻が撃破され「飛龍」1隻だけが残った。それに当てはめると生存空母は3隻に増える。
結果、反撃規模も拡大する。10時58分に発艦した第1次反撃は、実戦例では「飛龍」に搭載した艦爆18機、艦戦6機の24機の小林隊である。それが3隻分に増える。どの空母が生き残るか次第だが、艦爆数は2~3倍に、護衛の艦戦は3倍に増える。
アメリカの空母「ヨークタウン」撃沈は確実になる。日本側が発見した唯一の空母であり全力攻撃をしかけるからだ。
仮に艦爆18機が倍の36機となった場合、攻撃実施数は実戦例の8機から16機あるいは26機に増える。単純に投弾機が8機を倍にすれば16機、米艦隊の迎撃阻止数10機を基にすれば残る26機が投弾する。爆弾命中数は実戦例の3発から6発ないし10発に増える。
第2次反撃も充実する。実戦例では13時31分に魚雷搭載が完了した艦攻10機と護衛の艦戦6機編成の友永隊が発艦する。それも空母3隻分になる。
ただ「ヨークタウン」撃沈後であり、実戦例でも米空母「エンタープライズ」「ホーネット」の2隻は18時10分まで未発見である。攻撃は2隻の空母発見以降となるため当日には実施できるかはわからない。
いずれにせよ、以降の戦いは日本有利となる。空母数は日本3隻、アメリカ2隻である。しかもその頃には米空母艦載機は消耗している。
日本防空戦力の充実から230機中で140機は喪失しているだろう。これは実戦例における海戦終了時の数字である。
残る米空母2隻もおそらくは沈む。アメリカ海軍からすれば撤退時期だが、脱出は難しい。まずアメリカの航空戦力は弱体化している。
また、日本は戦艦部隊に「鳳翔」、上陸船団に「瑞鳳」の2空母があり、別に水上機23機を搭載した水上機母艦「千歳」も無傷だ。そして、戦艦11隻以下による水上戦や上陸戦支援の選択肢も残っている。それからすれば日本海軍も追撃は緩めないからである。
アメリカはそもそも決戦を挑めない
この記事に関連するニュース
-
爆撃機の「お尻にエンジンもう1発!」予算争いの対抗策で生まれた“ハイブリッド爆撃機”とは?「これなら核積める」
乗りものニュース / 2024年6月30日 6時12分
-
米軍「あれにはやられた」 大戦末期の旧日本海軍がとった「奇跡の作戦」とは “強運艦オールスターズ”集結
乗りものニュース / 2024年6月28日 16時12分
-
特集は「山口多聞と空母飛龍」 ミリタリー総合誌「丸」8月号 好評販売中
PR TIMES / 2024年6月25日 18時15分
-
勝算絶無の日米艦隊決戦「マリアナ沖海戦」 ゲリラに拘束されなかったら…? そこに勝機はあったか
乗りものニュース / 2024年6月19日 16時12分
-
「驚くほど洗練された高速爆撃機」海外も絶賛した旧海軍機とは 生みの親は戦後に鉄道へ
乗りものニュース / 2024年6月16日 18時12分
ランキング
-
120年ぶりの新紙幣に期待と困惑 “完全キャッシュレス”に移行の店舗も
日テレNEWS NNN / 2024年7月2日 22時4分
-
2小田急線「都会にある秘境駅」が利用者数の最下位から脱出!超巨大ターミナルから「わずか700m」
乗りものニュース / 2024年7月1日 14時42分
-
3「7月3日の新紙幣発行」で消費活動に一部支障も? 新紙幣関連の詐欺・トラブルにも要注意
東洋経済オンライン / 2024年7月2日 8時30分
-
4カチンコチンの「天然水ゼリー」が好調 膨大な自販機データから分かってきたこと
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月30日 6時30分
-
5イオン「トップバリュ」値下げ累計120品目に 「だし香るたこ焼」など新たに32品目
ORICON NEWS / 2024年7月2日 16時26分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)