「戦力の集中」運用に背いたゆえのミッドウェー敗戦 空母4隻と2隻に分けたことがそもそもの敗因
東洋経済オンライン / 2024年6月16日 9時0分
日本は戦力集中の原則に背いたために敗北したのである。逆に戦力を集中運用すれば、敗北は回避できた。情報漏洩や作戦目的が誤っていても、兵装転換のように指揮官判断で失敗しても、偵察機遅延や上空警戒の油断の事故があっても勝利できた。
そもそもアメリカ海軍は決戦は挑めなくなる。日米空母数比は実戦例の4隻対3隻から6隻対3隻に悪化するうえ、うち1隻は修理不充分の「ヨークタウン」である。勝ち目は見えない。
そして負ければ東太平洋も危うくなる。決戦で敗北すれば、空母数の比率はさらに悪化する。そうなるとアメリカ海軍は日本海軍を掣肘できなくなる。日本艦隊は西海岸の沖合に出現しかねなくなる。
それよりも空母3隻の温存を優先する。その存在感で日本艦隊に東太平洋への侵入をためらわせて西海岸のアメリカの制海権を保持する。加えて日本軍外縁部への一撃離脱の繰り返しで日本側の攻勢を押し止める。そのような開戦以来の戦略を継続するだろう。
文谷 数重:軍事ライター
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