「社会的地位のための結婚」規範が根強く残る背景 「そうであるべき」人生モデルからの解放を
東洋経済オンライン / 2024年6月17日 10時30分
未婚率全国トップの東京23区で進む「日本の未来」とは。孤独担当大臣も知らない、35歳から64歳の「都市型」の自由と孤独に焦点を当てた『東京ミドル期シングルの衝撃:「ひとり」社会のゆくえ』が上梓された。同書著者の一人である松本奈何氏が、社会的地位をめぐる視点から、シングル社会が抱える課題を読み解く。
シングルへのさまざまな「視線」
「社会的地位のために結婚する」
最近のNHK朝の連続ドラマ「虎に翼」で、弁護士として資格はあるのになかなか仕事がこない主人公が発したセリフです。
時代は戦前、女性の弁護士がやっと認められた時代ですので今とはかなり違う時代設定です。しかし、この状況には、ここまであからさまではなくても何か今も通じるものがない?と思った人も多かったのではないでしょうか。
単身者でいること、子どもがいないことによって、あからさまな差別でなくとも、例えば制度上何かと不自由であったり、他人から何かしらの視線を送られたりする単身者の声は、『東京ミドル期シングルの衝撃』 執筆にあたってのインタビューでも多く聞かれました。
日本は伝統的な家族規範が根強く残っていることは多くが指摘している点です。異性の配偶者、そして子どもがいる姿が「正しい」という考えはまだまだ根強く、特にさまざまな法制度は家族が基準となっています。
ですので、単身者は、家族になる前の過程の一時的な状態、もしくは配偶者を亡くして家族を失った人ととらえられるか、もしくは何らかの理由である年齢に達したときに「結婚できなかった」、と捉えられることが多くあります。逆に結婚している人は、安定している人、「正しい」人生を歩んでいる人、なので信頼がおける、となるのでしょうか。
実際は、ミドル期シングルたちの多くが、彼ら、彼女らなりの選択をしたり、やむを得ず、機会がなく、といったさまざまな状況の中で単身者として暮らしています。仕事や、自分のやりたいことのために、単身であることを選択し、安定して暮らしている人もいます。
また、結婚した人もいつ離婚したり死別したりするかはわかりませんし、むしろ配偶者に経済的に、もしくは日常生活で頼っていた人がひとりになると、その不安定さは大きいといえるでしょう。社会的に安定し、さまざまな分野で社会に貢献するには、結婚という状態がどれだけ関係するのかわかりません。
それにもかかわらず、社会では結婚しているのか、いないのか、によってその人の状態を推測する傾向があることは今も根強く残っています。
年齢・性別による人生の規範
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